禁煙会誌 第3巻第2号 2008年4月15日


目次



《総 説》 バレニクリン(チャンピックス™)の有害事象について 作田 学
 
《原著論文》 加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)を用いた「みやこ禁煙学会」参加者の喫煙に
関する意識調査

吉井千春
 
《Editorial(論説)》 こどもの喫煙開始を防ぐ包括的取り組みのきっかけとなるNGOと地方自治体の共同 松崎道幸
 
《資 料》 わが国初の行政と市民団体による多数校対象の大規模かつ計画的な防煙教育
~平成18年度千葉県委託「喫煙防止出前健康教室」事業への取り組み実践報告~

大谷美津子
 
《資 料》 受動喫煙対策を行う上で欠かせないタバコ臭についての論考 松崎道幸
 
《資 料》 WALK AGAINST TOBACCO 2006 WEEK 9 REVISITED Mark Gibbens
 
《記 録》 日本禁煙学会の対外活動記録(2008年2・3月)



日本禁煙学会雑誌第3巻第2号 2008年4月
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《総 説》

バレニクリン(チャンピックス™)の有害事象について

NPO法人 日本禁煙学会 理事長
日本赤十字社医療センター神経内科
杏林大学神経内科客員教授
作田 学
キーワード:バレニクリン、有害事象、チャンピックス ドリーム、性格変化、自殺

利益・利害相反:著者はいかなる意味においても、ファイザー社と利益・利害相反はない。また、他の薬剤メーカーとも利益・利害相反はない。

はじめに
 いよいよ禁煙治療で待たれたバレニクリンが発売になる。バレニクリンはニコチン代換療法(NRT)、抗うつ薬(ブプロピオンやノルトリプチリン)に続いて第3世代の新薬である。2006年5月にアメリカのFDA(Food and Drug Administration 食品医薬品局)の認可を受け、これまでアメリカで500万人以上に処方され、優れた効果をあげている。その一方で、副作用あるいは副作用の可能性のある事象がいろいろと報告されつつある。そのあるものは新聞記事になった一例報告やウェブ上のブログなどでの報告であるが、我々がこの薬剤を使うに当たってはそういう事象を知っているかどうかが本質的に重要であると考え、ここに報告する。
 また2008年4月1日にFDAがリリースしたビデオクリップをご覧に入れる。これは自殺が直接関係あるとしたところが勇み足であったため、FDAはすぐに引っ込めた。しかし、ビデオクリップ自体は参考になると思い、ご紹介する。

二重盲検試験で明らかにされた副作用
 表1は台湾と韓国の250人を対象に二重盲検を行った結果である1)。日本の618例を対象に行った結果もほぼ同じ結果になっている2)。表によると、対象例よりも多かったものは台湾と韓国でそれぞれ34.9-50.8%、 頭痛12.7-4.8%、 不眠症 9.5%、異常な夢 6.3- 11.1%、疲労感4.8-7.9%、ねむけ6.3-1.6%、睡眠障害7.9%、上腹部不快感3.2-6.3%となっている。
 そして表2は副作用のために治験を継続できなかった6例である。これらの副作用はアメリカの男女3659人が参加した6つの総合的な臨床開発プログラムでの結果とも一致している。アメリカでの治験からの脱落率はプラセボと同等であった。そして副作用としては、嘔気・不眠・便秘・異常な夢がプラセボよりも多かったという3)
 確かに、この数字を見ただけでは、比較的安全な薬剤といえよう。しかしながら、人は時として、見えるはずだという事象はしっかり検証するが、知られていない事象は見えないで終わってしまうことがある。

Chantix™ Dreamについて(日本ではチャンピックス™)
 この現象があちこちのウェブのブログでささやかれ始めたのは、2006年5月に販売が開始されてからまもない頃だった4,5)
(ケース1)ある女性は薬剤を飲み始めてまもなく、二人の女性と西部でWild Bill Hickockと荒々しい彼の相棒に人質となる夢を見た。夢の中で子分の喉を掻き切って体をその中に隠し、逃げ出すという作戦を立てた。残念なことに3人とも浴室に最初に行かないといけないと言われた。1870年代のバスルームがあるかのように。そして彼女達は予期せずギャンブルから早く戻ったWild Bill彼自身に捕まった。
 2日目に見た夢は8フィート(2m40cm)の素敵なダイノサウルスとデートをしている夢だった。それは彼女の父の家のそばの森の洞穴に住んでいた。そして夢は海岸へ旅行する計画やビキニかワンピースにするかという詳細をきわめていた。次の夜は、変わったベッドを走っており、朝食をPinelandでするという夢だった。このPinelandは南ニュージャージーにあり、先週行ってきたばかりだった。おかしなことにすべてのゲストルームは木の上にあった。そしてそこへ行く唯一の方法は長いロープの階段を登っていかなければならなかった。
 この時から、夢は毎晩やってきた。そしてたいていの朝、同僚とあたかも最近のオフィスのゴシップであるかのように語り合った。最近の夢はガレージのドアを開けると、
表1.台湾・韓国のデータ
表1.台湾・韓国のデータ


表2.副作用のために治験を継続できなかった6例
表2.副作用のために治験を継続できなかった6例
ただ地下へおりる階段しかないというものだった。拡大家族(核家族の対語:著者注)がそこに住んでいた。両親、子供たち、祖父母、おば、おじと私の妹のおかしな犬と子犬が不可解にもいた。
 (ケース2)夜中に酒を飲んでいて突然暴力をふるいだし、近所の家に押し入ろうとして、撃ち殺されたという事例がコロラド州デンバーであった5)。友人によるとこの34歳の男性は普段はおとなしい性格で、酒を飲んでも暴力を振るうことは決してなかったという。彼は1週間前からガールフレンドとバレニクリンを飲み始め、週明けには禁煙をしようと計画していた。
 彼と一緒に住んでいたガールフレンドによると、「1時間前にバレニクリンを服用したが午前1時頃バーでは特におかしなところは無く、酒に酔ったようにも見えなかった。午前2時に家に帰った頃からおかしな行動がはじまった。彼は乱暴にふるまい、最近読んだ本について文句を言い始めた。彼は会話に合わないおかしなヤツと言っていたが、私が理解できないでいると私に怒り始めた。でも、全く理解できなかった。帰宅して10分ほどすると、彼はコントロールが利かなくなった。出て行こうとし、私は彼にドライブさせたくなかった。この時点で、彼には私が誰だかわからなかったみたい。暴力をふるいはじめ、それでも彼が私を傷つけているなどは思ってもいないみたいだった。まるで彼は夢を見ているようだった。彼女は逃げてドアをロックした。すると彼は隣の家へ向かい、ドアをバンバンやりだした。隣家の人は、彼を驚かそうとして銃を上へ向けて撃ったつもりが、彼に当たり、即死だった。」(The Dallas Morning News 10.23.2007)
 さらに次のような夢を見た女性もある6)
 (ケース3)「先週末に見た夢はおかしかった。夢の中でトイレに行こうとしていた。しかしそこには並んで列ができていた。並んでいる人たちはまったく知らない人たちだった。とつぜん私の小さなトイレのドアが開いて、私の前にいた女性が入っている人を外に出すべく後ろに下がったので、私をほとんど主人のクロゼットまで押し戻した。私がトイレにはいると、私の前に使っていた女性がトイレの水を流していなかった。そして、一人の男の人がシャワー室のタイルに寝そべっていた。シャワー室の壁にはおかしな穴が空いていた。そしてその穴から別の男が隣の部屋の天井を直していた。その途端、郡がこの男達をよこしたのだと思った。私はトイレを使わずに、外に出て、どうして私が私のトイレを使いたいと思う時に郡がよこしたのかしらと不思議に思った。」

 このようなあたかも現実であるかのような詳細な夢をみることのあることがその後、多くのブログで明らかになり、これをいつとはなしにChantix™ DreamあるいはCrazy Chantix™ Dreamと呼ぶようになった。
 なぜこのような夢を見るのかは、いまだ明らかではない。これとよく似ている現象にナルコレプシーでみる入眠時幻覚がある7)。これはナルコレプシーの患者の40%~67%が見るとされる。色の着いた物体がただ見えるだけのことから、それが大きくなったり小さくなったり、動いたり、突然人や動物が目の前に現れることも多い。音やメロディーの聞こえる聴覚性の幻覚、匂いの幻覚、触られたりつねられるような触覚性の幻覚、宙に浮いたり揺れるような迷路性の幻覚もある。患者は幻覚とともに不安感や恐怖感を覚える。幻覚を見たことは詳細に憶えている。この入眠時幻覚は入眠時レム睡眠期に生じる。面白いことに、青斑核のノルアドレナリンニューロンと背側縫線核のセロトニンニューロンはレム睡眠期に発射が停止する。ナルコレプシーの脳内神経伝達物質の変化はアセチルコリン説が有力である。すなわちアセチルコリンのアゴニストはレム睡眠を誘発し、またレム睡眠を抑制する三環系抗うつ薬は抗アセチルコリン作用とともにセロトニンの再取り込みを抑制する作用がある7)
 また、ナルコレプシーの治療薬であるメチルフェニデートの類似薬を注意欠陥・多動性障害の患者に使っていたところ、バレニクリンの作用が減弱したという報告がある8)。このことから、バレニクリンの本質的な作用と関係している可能性があり、この夢は、副作用ではなく、重要な作用であるという意見もある9)

 Chantix™ dreamをまとめると次のようになろう。
1.見出すと毎日のように見ることがある。
2.あたかも現実であるかのような夢である。
3.起きても夢の内容を事細かく覚えている。
4. 起きてすぐは現実なのか、夢なのかわからないことがある。

性格変化について
 性格が剣呑で怒りっぽく、醜悪になると言うこともたびたび報告がある。たとえば、とてもベッドを共にできず、地下に避難した。バレニクリンを中止して、1週間ではまだこの症状が持続していた例があった10)
 こういう事例もあった11)
「私がバレニクリンを飲み始めてから、おかしな経験をした。以前はそんなことはなかったのに、敏感で怒りをすぐに爆発させるのだった。この怒りには私もほとほと困っており、この薬剤を飲むのは今日限りとしたい。私はシカゴの証券取引所に勤務している。それは攻撃的な環境で、怒鳴ることは日常茶飯事だった。しかし、バレニクリンを飲み始めてからというもの異常な、必要のない攻撃的な行動に私のみならず同僚も気づいている。私の頭はいつも霧がかかっているようで、いつも二日酔のようだ。同時に人々が十分に早く動かないように感じる。これは感じすぎだと思う。昨晩と今晩に2つの友人グループと外出した。彼らはともに、私のちょっとした行動の変化に気づいていた。私が新しい薬剤を飲んでいるというと、私が最近異様な事を言っていると言った。私の人との接触の仕方がこれまでと違い、正常でなく、楽しくもないと言った。私は1時間半おきに目が覚めている。」 これはニコチンの離脱症状にも似ている。これに対してこういう意見があった。「私もバレニクリンを服用し、同じような睡眠障害を経験した。しかしながら、日に日に不安感と共に現実から解離しているような感じがあった。とうとう32日目にグラス1杯のワインで私は言葉だけでなく肉体的に激しくののしったのだった。その後私は禁煙と禁酒を守り、幸運なことにまだここにいる。」
 約1~2週間のバレニクリンの中断で、性格変化は元に戻るようである。
 性格変化をまとめると、怒りっぽく剣呑な性格になる。とくに酒が入るとコントロールできなくなることもあり、注意しなければならないということだろう。

精神疾患とバレニクリン
 2007年8月号のアメリカ精神医学雑誌に2つのレターが出た。
 バレニクリンを使用中の統合失調症と躁病のそれぞれ1例の症状が悪化したという12,13)。統合失調症は42歳の女性で、バレニクリンの処方と中止に一致して、急性の増悪を見たという。躁病の症例は63歳の男性で、症状は安定していたが、バレニクリンを処方されてから1週間で躁症状が悪化して入院した。バレニクリンを切ったところ、1週間で軽快したという。興奮、攻撃性と気分の変調は希な精神科的副作用としてFDAに臨床研究の前に報告されていた。また、躁症状、興奮と精神症状も希な精神科的副作用として報告されていた。
 Jonathan Foulds医師によると、統合失調症あるいは躁鬱病と言った精神疾患のあるケースはバレニクリンの二重盲検試験から除外されていたという。Foulds医師は精神疾患のある患者が禁煙をしたいと求めてきたならば、次のようなことを勧めるという14)
(1)手に入るすべての禁煙法を教え、これを使うことを勧める。
(2)薬物としては、ニコチン代換療法(NRT)の良いところをあげる。
(3)バレニクリンに関しては、精神疾患の患者で十分な研究がおこなわれていないことをあげる。そして医師がこの薬剤を選択した場合、その医師が十分綿密に患者の様子を観察することが大切である。
(4)しかし、私の近親者がすでにNRTで失敗して、別の薬剤を望んでいる時には、バレニクリンを投与することをいとわない。というのも、多くの臨床家が精神疾患のある患者にバレニクリンを投与し、成功しているからである。

自殺とバレニクリン
 この問題については現在まだFDAが調査中である。薬を飲んでいなくても自殺企図はあるが、バレニクリンを服用していると1万人に1人ぐらいの割合で自殺企図が起こるという。
 この問題を含め、FDAはビデオクリップを2008年4月1日に出した。
 http://whyquit.com/videos/FDA-SHOW74-SEG3.MPG
 しかしながら、すぐに取り下げてしまい、すでにFDAのサイトからは見ることができない。
 FDAは精神疾患の患者を治験には入れていなかった。
 性格変化、あたかも現実であるかのような夢、自殺などが起こりうること、そして、患者および患者の周囲の人は良く気をつけて、すぐに医者に相談することを呼びかけている。
 これに先立ち、FDAは2007年11月20日から調査を進めていた。当初、ファイザー社は同薬剤と各症状との間に因果関係は認められないとして、症状の一部はニコチン離脱に起因するものではないかとの見解を述べていた。2008年2月1日にFDAは警告を出した。FDAではバレニクリンに関連する自殺行動の事例を491件把握しており、このうち420件が米国で発生している。自殺を遂げたケースは39件で、34件が米国内。ファイザー社によると、これまでに500万人の患者がこの薬剤を利用している。
 そしてFDAは、バレニクリンの使用を開始する前に、精神疾患の病歴について良く聴取するように勧告している。同薬によって既存の精神疾患が増悪するほか、過去の精神疾患が再発する可能性がある。不安、神経質、緊張、抑うつ感、異常行動、自殺念慮ないし自殺企図などの症状などにも注意が必要で、薬剤を中止した後に症状が現れることもある。鮮やかであたかも現実であるような夢を見ることや、自動車や機械の運転能力が低下する可能性も指摘されている。
 日本での報道は文献15~17参照のこと。
 著者は表3のような判断が好ましいと思う。

まとめ
 バレニクリンは優れた選択的ニコチン性アセチルコリン受容体の部分作動薬である。ニコチン受容体に弱く作用するように設計されており、それによって喫煙したい欲求とニコチンからの離脱を緩和する。同時にバレニクリンを服用中にタバコを吸うと、バレニクリンの持つニコチン受容体遮断作用によって、喫煙によって得られる満足感を抑える。この両者により、ニコチン依存症から離脱できるのである。
 しかしながら、アセチルコリンとドパミンはもっとも大切な脳内トランスミッターとして、複雑にからみあっている。それはパーキンソン病に見るごとく、アセチルコリンをいじる薬剤だけで、たとえば認知症が容易におこることでもわかる。またアセチルコリンとアドレナリンのバランス障害が双極性障害の原因になっているとも言われている。
表3.著者の考える精神疾患患者への対応
表3. 著者の考える精神疾患患者への対応
 基本的には安全な薬剤と思われるが、とくに精神疾患の既往のある患者にはとりわけ注意が必要である。
 この優れた薬剤を今後大きく育てていくためには、今後の慎重な投与と、観察がなによりも必要と思われる。
患者への使用上の注意の十分な説明とフォロー、及び禁煙治療専門医の情報交換、また処方医と薬局へのメーカーからの情報提供なども望まれる。

参考
1) Tsai ST, Cho HJ, Chen HS, et al : A randomized, placebo-controlled trial of varenicline, a selective alpha4beta2 nicotinic acetylcholine receptor partial agonist, as a new therapy for smoking cessation in Asian smokers. Clin Ther 2007; 29: 1027-1029.
2) Nakamura M, Oshima A, Fujimoto Y, et al: Efficacy and tolerability of varenicline, an alpha4beta2 nicotinic acetylcholine receptor partial agonist, in a 12-week, randomized, placebo-controlled, dose-response study with 40-week follow-up for smoking cessation in Japanese smokers. Clin Ther 2007; 29: 1040-1056.
3) 作田 学:ニコチン以外の薬物療法. 禁煙学, 日本禁煙学会編. 南山堂, 東京, 2007;62-64.
4) http://content.hamptonroads.com/ story.cfm?story=114938&ran=55083
5) http://www.dallasnews.com/sharedcontent/dws/news/localnews/stories/DN-musiciandead_05met.ART.State.Edition2.4247864.html
6) http://amandajustice.blogspot.com/2007/08/crazy-chantix-dreams-and-other-stuff.html
7) 作田 学:睡眠障害. 神経内科学書, 豊倉康夫編, 朝倉書店, 東京, 2004; 692.
8) Whitley HP, Moorman KL: Interference with smoking-cessation effects of varenicline after administration of immediate-release amphetamine-dextroamphetamine. Pharmacotherapy 2007; 27 ; 1440-1445.
9) http://pharmamkting.blogspot.com/2007/10/chantix-californication-dreamin-viagra.html
10) http://www.associatedcontent.com/article/388366/chantix_the_new_stop_smoking_drug_is.html
11) http://www.topix.com/forum/law/healthcare/TMPBA0OJTHO00PSEE
12)Freedman R: Exacerbation of Schizophrenia by Varenicline. Am J Psychiatry 2007; 164; 1269.
http://ajp.psychiatryonline.org/cgi/content/full/164/8/1269
13) Kohen I , Kremen N : Varenicline-Induced Manic Episode in a Patient with Bipolar Disorder. Am J Psychiatry 1269; 164; 1269-1270.
http://ajp.psychiatryonline.org/cgi/content/full/164/8/1269-a
14) http://www.healthline.com/blogs/smoking_cessation/2007/08/chantix-and-mental-illness.html
15) ファイザー製飲む禁煙薬、自殺との関連性警告・FDA(日経2008/2/3報道)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080203AT1G0200P02022008.html
16) 米ファイザー、飲む禁煙薬で警告——服用でうつ、自殺の懸念 http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2008011901654h1
17) 【ヘルスハイライト】禁煙補助薬により自殺リスクが増大 http://www.yakuji.co.jp/entry5751.html


On the adverse effects of varenicline (Champix™)

Manabu Sakuta MD, PhD
Board Chairman, Japan Society for Tobacco Control
Dpt Neurology, Japanese Red Cross Medical Center
Visiting Professor, Dpt Neurology, Kyorin University Medical School

Varenicline, long awaited tobacco cessation drug is at last in the market. This drug is the third generation medicine after the nicotine replacement therapy (NRT) and anti-depressant (bupropion etc).
However, after it was distributed to the public in USA , rumors were elsewhere condemning vivid abnormal dreams, ugly personality change and suicide attempts. We would like to caution not only the doctors who are attending but public at large who are willing to quit smoking.
(What double blind examination revealed)
Studies performed in Taiwan, Korea and Japan were almost identical, so were the examinations in USA. Main side effects are nausea, headache, somnolence, abnormal dream, fatigue, sleepiness, insomnia and upper abdominal discomforts. The rate of drop off is about the same as the control subjects. These figure shows that the drug is quite safe, and at the same time, very effective.
(So called Chantix Dream)
Soon after the drug is distributed in May 2006, some patients began complaining vivid abnormal dreams which they remembered well. Before long, this strange dream was named as Chantix Dream or Chantix Crazy Dream.
This can happen almost everyday, is a dream as if real, is memorized precisely.
(Personality change)
Patients or surrounding people complain that the patient's personality have been changed - most often ugly side. Sometimes it goes too far to be controlled by their will.
(Psychiatric disorders)
A few case reports have been published claiming patient with schizophrenia or manic-depressive state became worse.
(Suicide)
This problem is still under inspection of FDA. 491 suicide attempts happened when varenicline was used for 5 million people. Whether this is a coincidence or not is studied strenuously.
(Summary)
Recommendations of FDA include precise history taking including past psychiatric diseases, observation by the patient as well as family on abnormal behaviors. If any strange behavior happens, patient should report to the attending doctor immediately.

Key words: varenicline, adverse effects, Champix dream, personality change, suicide


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《原著論文》

加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)を用いた「みやこ禁煙学会」参加者の喫煙に関する意識調査

吉井千春1, 11、栗岡成人2, 11、加濃正人3, 11、天貝賢二 4, 11、稲垣幸司 5, 11、瀬在 泉 6, 11、北田雅子7, 11、大谷哲也8, 11
原田正平 9, 11、田中善紹10

1.  産業医科大学呼吸器内科
2.  城北病院内科
3.  新中川病院内科
4. 茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター消化器内科
5. 愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科
6. 筑波大学大学院体育研究科
7. 札幌学院大学商学部
8. 群馬大学大学院医学系研究科生態情報学
9. 国立成育医療センター総合診療部
10. 田中医院(京都)
11. 禁煙心理学研究会:加濃式社会的ニコチン依存度 (KTSND) ワーキンググループ
連絡先
〒807-8555 北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1 産業医科大学呼吸器内科
  吉井千春
  TEL 093-691-7453, FAX 093-602-9373
  e-mail: nyan@med.uoeh-u.ac.jp

キーワード:加濃式社会的ニコチン依存度調査票 (KTSND) 、心理的ニコチン依存、社会的ニコチン依存、みやこ禁煙学会

1. はじめに
 2006年から開始された禁煙治療の保険診療化 により、喫煙がタバコに含まれるニコチンによる薬物依存症1) であることが、国民の中にも徐々に浸透してきた。しかし一方で、喫煙者が喫煙を継続出来るようにすることが喫煙者への配慮や市民サービスと考えている人達も多数おり、これは社会の喫煙に対する病識の欠如であり、社会がタバコ依存症に陥っている現象とも言える2)。WHOは、喫煙を疫病と捉え 3) 、その広がりや危険性を広く啓発しようとしている。従って喫煙ないしニコチン依存症は、単なる喫煙者の疾患としてではなく、広く社会に浸透する疫病として評価し、対策を講じる必要がある。
 社会的ニコチン依存 (social nicotine dependence) は、2003年に加濃正人が提唱した概念で、それを評価する簡易質問票として、加濃式社会的ニコチン依存度調査票 (Kano Test for Social Nicotine Dependence: KTSND) 4) 5) が開発された。 社会的ニコチン依存は「喫煙を美化、正当化、合理化し、またその害を否定することにより、文化性を持つ嗜好として社会に根付いた行為と認知する心理状態」4) と定義される。これは単に喫煙者における心理的ニコチン依存のみならず、社会の疫病3) として喫煙が、非喫煙者、前喫煙者、さらに子供達にまで及ぼす影響を包括する概念であり、「社会全体の喫煙に対する認知の歪み」であると考えている。
 これまでにKTSNDを用いた研究は種々の対象5)~13) で行われてきたが、禁煙支援者、指導者のような禁煙推進の立場にある人々を対象とした報告はなかった。今回このような対象での社会的ニコチン依存度を把握し、さらにその結果からKTSNDの基準値設定を検討する目的で、2007年2月に開催された「みやこ禁煙学会」においてKTSNDによるアンケート調査を行ったので報告する。

2.対象と方法
 日本禁煙推進医師歯科医師連盟、日本禁煙学会、京都禁煙推進研究会が合同で、2007年2月に京都で「みやこ禁煙学会」(参加者約430名)を開催した。その際、受付時に喫煙に関するアンケート(表1)を配布し、その場で記入してもらい、箱に回収した(配布数283 枚、回収数146枚、回収率51.6%)。アンケートの内容は、KTSND(10問30点満点:配点は問1のみ左から3, 2, 1, 0点、問2~10は0, 1, 2, 3点)に加え、回答者情報として1) 年齢、2) 性別、3) 喫煙状況、4) 前年の学会でのアンケート協力の有無、5) KTSNDを知っているか、6) 所属団体、7) 職種、8) 参加形態、9) 今後の喫煙について、を記入してもらった。
 回収したアンケートの回答者情報より、4) 前年の学会でアンケート協力をした人が12名、しない人125名、分からないが8名、無回答が1名、8) 参加形態は、個人が123名、団体が23名、9) 今後の喫煙について、絶対に吸わないと確信出来る人が135名、確信出来ないが4名、無回答が7名と、回答数に偏りがあった。このためKTSNDの全質問項目と、回答者情報のうち、1), 2), 3), 5), 6), 7) のすべてに記載漏れのない139名のデータを解析の対象とした。
 回答者背景(表2):喫煙状況別では非喫煙者が90名 (64.7%)、前喫煙者が49名 (35.3%) で、喫煙者はいなかった。また男女別では男性73名 (52.5%)、女性66名 (47.5%) とやや男性が多かった。職業別では医師又は歯科医師が73名 (52.5%)、その他が66名 (47.5%)であった。また年齢別では40代が50名 (36.0%)と最も多く、以下50代 41名 (29.5%)、30代22名 (15.8%)、20代14名 (10.1%)、60歳以上12名 (8.6%) の順であった。所属は主催3団体のどれかの会員が90名 (64.7%)、非会員が49名 (35.5%)と会員が3分の2を占めた。KTSNDについては、内容を知っている人が36名 (25.9%) 、名前だけは知っている人が54名 (38.8%)、名前も知らない人が49名 (35.3%)という背景であった。
 統計処理:喫煙状況や性別など2群間の比較には、Mann-Whitney順位和検定を、また年齢別など3群間以上の比較にはKruskal-Wallis順位和検定を行い、いずれもp < 0.05を有意差ありと判定した。

3.結果
1) 全回答者の得点分布(図1):139名全員の得点分布を示す。全体の平均値± SDは5.5 ± 5.2で、0点が最
表1.タバコに関する意識調査表1.タバコに関する意識調査

表2.回答者背景表2.回答者背景
も多く33名であった。また9点以下は114名で全体の82.0%を占めた。一方20点以上の高得点者も2名いた。
2) 喫煙状況別得点:非喫煙者の平均値は5.2 ± 4.8、中央値4、また前喫煙者の平均値は6.0 ± 5.9、中央値5で、両群の間に有意差はなかった。(p = 0.80) また今回のデータを、成人用KTSNDを用いたこれまでの報告(表3)と比較すると、どの報告よりもKTSND値は低く、特に非喫煙者においては、遠藤ら10) の高校生のデータよりも低い値となった。
3) 男女別得点:男性の平均値は5.3 ± 5.6、中央値4、また女性の平均値は5.7 ± 4.7、中央値5で、両群間に有意差はなかった。(p = 0.32)
4) 年齢別得点:20代、30代、40代、50代、60歳以上の各群の中央値は、それぞれ7.5、4.5、4、5、1.5であったが、各群間に有意差はなかった。(p = 0.21)
5) 職業別得点:医師及び歯科医師の平均値は5.2 ± 5.5、中央値4、その他の職種の平均値は5.8 ± 4.8、中央値5で、両群間に有意差はなかった。(p = 0.22)
6) 禁煙関連学会加入の有無別得点(図2):学会員の平均値は4.8 ± 5.4、中央値3.5、非学会員の平均値は6.8 ± 4.5、中央値が6で、両群間に有意差 (p = 0.0021) を認めた。またKTSNDの各設問で比較すると(表4)、問1, 2, 7, 10で学会員の方が非学会員よりも有意に低い得点となった。
7)KTSNDの認知度別得点(図3):KTSNDの内容を知っている人の平均値は3.2 ± 3.7、中央値2、名前だけは知っている人の平均値は5.2 ± 5.2、中央値4、名前も知らない人の平均値は7.5 ± 5.5、中央値6で、これら3群間で有意差 (p = 0.0004) を認めた。またKTSNDの各設問で比較すると(表5)、問1, 2, 3, 4, 7で有意差を認め、KTSNDの内容を知っている人ほど低い得点となった。

4.考察
 KTSNDを用いた研究は、①質問票としての信頼性と妥当性の研究、②種々の対象や喫煙状況におけるKTSND得点の把握 5)~9) 、③禁煙講義・講演・指導の前後での得点比較 10)~12) 、④禁煙外来での有用性の検討 13) 、⑤新しい心理療法的禁煙アプローチであるリセット禁煙法14) の効果判定、⑥喫煙関連疾患患者での試用、⑦他のアンケートの組み合わせによる研究、⑧KTSND小学生用による小学校高学年での検討 11) 12) 、⑨国際共同研究(韓国 7)、オーストラリア、アメリカ、台湾など)、⑩以上を踏まえた質問票の改良の検討、などが行われている6)
 これまでの成人用KTSNDの研究から、平均得点は、非喫煙者≦前喫煙者≦喫煙者であり、非喫煙者では10~13点台、前喫煙者では12~16点台、喫煙者では16~18点台と報告されている 5)~9)。今回の対象では、これらと比較してKTSND得点は半分以下の低い数値であることが確認された。また禁煙関連学会の加入者では平均得点が4.8 ± 5.4 で、非加入者の 6.8 ± 4.5より有意に低い数値となった。しかし学会非加入者においても、一般成人のKTSNDより低い値になっており、禁煙活動への関心を反映したものと思われる。さらにKTSNDの内容を良く知っている人では、3.2 ± 3.7と極めて低い数値になったが、熟知している人は、設問の意義や配点を理解し、望ましい回答も把握しているため、より低い数値へのバイアスがかかっている可能性は否定出来ない。しかしKTSNDを全く知らない参加者でも7.5 ± 5.5と過去の報告例よりも低く、禁煙推進の立場にある人達の社会的ニコチン依存が極めて低いことが判明した。 
 これまでKTSNDの設問別に得点比較した報告5)~8) では、10問中8~10問で喫煙状況により有意差が出た(非喫煙者≦前喫煙者≦喫煙者)。 今回の研究では、禁煙支援者・指導者が対象であっても、禁煙関連学会加入の有無別で問1, 2, 7, 10で、またKTSND認知度別で問1, 2, 3, 4, 7で有意差を認めた。両者に共通なのは問1(タバコを吸うこと自体が病気である)、問2(喫煙には文化がある)、問7(タバコにはストレスを解消する作用がある)の3問である。問1は「喫煙はニコチン依存症」という医学的知識そのものの質問であるが、学会参加者であっても、この問で2点ないし3点の回答者が散見され、まだ知識が十分に浸透していない可能性が示唆された。従って禁煙支援・指導のminimum requirementsとして「喫煙はニコチン依存症」という知識の普及には、更に力を入れなればならないと思われる。喫煙が薬物依存であることを学習すれば、タバコには何の効用もないこと、タバコによるストレス解消が、ニコチン血中濃度低下時の離脱症状を喫煙で一時的に緩和しただけに過ぎないこと、さらに依存性のある薬物には「嗜好品」という言葉がなじまないことが理解出来ると思われる。問2の「文化」については、他の報告6)~8) では有意差が出にくい項目であった。「文化」の捉え方に個人差があるとグループ内の回答にばらつきが大きくなるため、グループ間では差が出にくくなると思われる。しかし今回有意差が出たのは、禁煙関連学会の会員やKTSNDを熟知しているグループが、そうでないグループに比べて、「喫煙は文化だ」という肯定的な文言を受け入れがたく思っているからかも知れない。
 最後に、今回の全対象者(139名)のKTSNDは平均5.5 ± 5.2で、0点が最も多くて33名であった。また9点以下が82.0%を占めた。2006年2月に松山で開催された第15回日本禁煙推進医師歯科医師連盟学術総会の際にも、KTSNDを含むアンケート調査を行った。その結果、禁煙指導者のKTSND値の95パーセンタイルが9点と10点の間だったことから、9点以下を正常範囲15) ないし基準値とし、今後も継続的に検証する方針とした。今回9点以下が82.0%を占めたことからも、「社会的ニコチン依存」のない望ましい状態は、引き続き9点以下が妥当と思われる。今後、社会を取り巻く喫煙環境の変化で、KTSNDもダイナミックに変化する可能性があるが、当面は禁煙支援・指導・治療や防煙教育の場において、KTSNDが9点以下になることを目標に設定することも意義があるのではないかと思われる。

 本論文の要旨は、第17回日本禁煙推進医師歯科医師連盟学術総会(2008年2月、横浜市)において発表した。
図1.全回答者の得点分布
図1.全回答者の得点分布


表3.成人用KTSNDの得点比較
表3.成人用KTSNDの得点比較


図2.禁煙関連学会加入の有無によるKTSND
図2.禁煙関連学会加入の有無によるKTSND


表4.各設問の比較(学会加入の有無)
表4.各設問の比較(学会加入の有無)


図3.KTSND認知度によるKTSND
図3.KTSND認知度によるKTSND


表5.各設問の比較(KTSND認知度別)
表5.各設問の比較(KTSND認知度別)

文献
1) 日本循環器学会等合同研究班:禁煙ガイドライン. Circulation Journal 2005; 69. Suppl. Ⅳ: 1006-1103.
2) 北山敏和:未成年者への喫煙対策. 未喫煙防止活動を学校で広げるためにはどんな問題を克服すべきか. J. Natl. Inst. Public Health 2005 ; 54 (4) :326-329.
3) WHO Report on the Global Tobacco Epidemic, 2008-The MPOWER package
https://www.who.int/tobacco/mpower/en/index.html Accessed for February 24, 2008
4) 吉井千春, 加濃正人, 相沢政明, ほか:加濃式社会的ニコチン依存度調査票の試用(製薬会社編). 日本禁煙医師連盟通信 2004 ; 13 : 6-11.
5) Yoshii C, Kano M, Isomura T, et al: An Innovative Questionnaire Examining Psychological Nicotine Dependence, “The Kano Test for Social Nicotine Dependence (KTSND) ”. J UOEH 2006 ; 28 : 45-55.
6) 吉井千春, 加濃正人, 稲垣幸司, ほか:加濃式社会的ニコチン依存度調査票を用いた病院職員(福岡県内3病院)における社会的ニコチン依存の評価. 禁煙会誌 2007 ; 2 (1) : 6-9.
7) Jeong JH, Choi SB, Jung WY, et al: Evaluation of social nicotine dependence using Kano Test for Social Nicotine Dependence (KTSND-K)
Questionnaire in Korea. Tuberc Respir Dis 2007; 62 (5) : 365-373. (in Korean)
8) 栗岡成人, 稲垣幸司, 吉井千春, ほか:加濃式ニコチン依存度調査票による女子大生のタバコに対する意識調査(2006年度). 禁煙会誌 2007 ; 2 (5)
9) 栗岡成人, 吉井千春, 加濃正人:女子大生のタバコに対する意識調査—加濃式社会的ニコチン依存度調査票 Version 2 による解析—. 京都医学会雑誌 2007 ; 54 (1) : 181-185.
10) 遠藤 明, 加濃正人, 吉井千春, ほか:高校生の喫煙に対する認識と禁煙教育の効果. 禁煙会誌 2008 ; 3 (1) : 7-10.
11) 遠藤 明, 加濃正人, 吉井千春, ほか:小学校高学年生の喫煙に対する認識と禁煙教育の効果. 禁煙会誌 2007 ; 2 (1) : 11-12.
12) 星野啓一, 吉井千春, 加濃正人, ほか:加濃式社会的ニコチン依存度調査票を用いた小学校高学年および中学生における喫煙防止教育の効果. 禁煙会誌 2007 ; 2 (7)
13) 栗岡成人, 師岡康江, 吉井千春, ほか:3か月の禁煙保険治療終了時の治療効果と今後の課題. 禁煙会誌 2008 ; 3 (1) : 4-6.
14) 磯村 毅:「リセット禁煙」による心理的ニコチン依存へのアプローチ. 治療 2005 ; 87 : 1947-1951.
15) 吉井千春:ニコチン依存度テストの現在と未来 (TDS, FTND, KTSND). 治療 2006 ; 88 (10) : 2572-2575.


The Kano Test for Social Nicotine Dependence (KTSND) in samples from the attendants of “Miyako Tobacco Control Meeting”

Chiharu Yoshii 1, 11, Narito Kurioka 2, 11, Masato Kano 3, 11, Kenji Amagai 4, 11, Koji Inagaki 5, 11, Izumi Sezai 6, 11, Masako Kitada 7, 11,
Tetsuya Otani 8, 11, Shohei Harada 9, 11, and Yoshiaki Tanaka 10

In order to evaluate the attitude toward smoking among people who promote a smoke-free society, we have been using the Kano Test for Social Nicotine Dependence (KTSND). It has ten questions with a total score of 30. We delivered the KTSND to the attendants of the “Miyako” Tobacco Control Meeting (February 2007, Kyoto, Japan) and collected 139 responses. The collection rate was 51.6%. There were no smokers among the respondents. The KTSND scores among all the 139 respondents were 5.5 ± 5.2 (mean ± SD). There was no significant difference between the KTSND scores of 5.3 ± 5.6 (n=90) for never-smokers and the 6.0 ± 5.9 (n=49) for ex-smokers. Also, the KTSND scores did not show any significant difference in gender, generation, or occupation. On the other hand, the KTSND scores of 4.8 ± 5.4 (n=90) for members of smoke free associations were significantly lower than those of 6.8 ± 5.4 (n=49) for non-members. Furthermore, the KTSND scores were significantly different among the following 3 groups: 3.2±3.7 for those who knew KTSND very well (n=36), 5.2±5.2 for those who knew only the name of KTSND (n=54), and 7.5±5.5 for those who didn’t know KTSND at all (n=49). As a whole, the KTSND scores for the respondents of the “Miyako” Tobacco Control Meeting were much lower than those of any previous reports. This study demonstrated that people who are active in promoting a smoke-free society show low social nicotine dependence. In addition, from the results of this research, we propose that KTSND scores less of than 10 would represent desirable psychological state free from the influence of smoking.

Key words: Kano Test for Social Nicotine Dependence (KTSND), Psychological nicotine dependence, Social nicotine dependence,
“Miyako” Tobacco Control Meeting


1. Division of Respiratory Disease, University of Occupational and Environmental Health Japan, Kitakyushu, Fukuoka 807-8555, Japan
2. Department of Internal Medicine, Johoku Hospital, Kyoto, Japan
3. Department of Internal Medicine, Shin-Nakagawa Hospital, Yokohama, Japan
4. Division of Gastroenterology and G.I. Oncology, Ibaraki Prefectural Central Hospital and Cancer Center, Kasama, Japan
5. Department of Dental Hygiene, Aichi-Gakuin Junior College, Nagoya, Japan
6. Department of Health and Physical Education, University of Tsukuba, Tsukuba, Japan
7. Faculty of Commercial Science, Sapporo-Gakuin University, Ebetsu, Japan
8. Gunma University Graduate School of Medicine, Maebashi, Japan
9. National Research Institute for Child Health and Development, Tokyo, Japan
10. Tanaka Clinic, Kyoto, Japan
11. KTSND working group in Research Group on Smoke-Free Psychology, Japan



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《Editorial(論説)》

こどもの喫煙開始を防ぐ包括的取り組みのきっかけとなるNGOと地方自治体の共同

松崎道幸(深川市立病院・日本禁煙学会理事)

 本誌2008年4月号に、大谷美津子氏ら(タバコ問題を考える会・千葉)の画期的な実践報告が掲載された。千葉県が禁煙推進市民団体に小中学校などでの「防煙教室」開催を委託し、2006年度に46回の講演(児童生徒6455名、教職員・保護者640名参加)が行われたという。この活動は、各種メディアの注目を受け、以後の防煙授業継続の希望も多かったという。この授業で受動喫煙の害を思い知り禁煙に成功した保護者の声も紹介されている。
 こどもの喫煙開始を予防するためには、こども達にタバコの害の情報を伝え、友人などからの喫煙圧力をはねつける力を養うことが必要であるが、それだけでは不十分である。大人の喫煙者の禁煙を促進する包括的タバコ対策を同時進行させる事が未成年者の防煙に必須であるというのが国際的エビデンスである。1 これは、学校で禁煙教育をしっかり行っても防煙効果の持続は1~2年にとどまるが、タバコ税値上げ、受動喫煙対策、広告禁止、メディアを使った大規模禁煙キャンペーンなど大人の喫煙率を減らす包括的取り組みを実行すると、こどもの喫煙開始率も長期間にわたり下がったという実践から引き出された教訓である。
 未成年者だけをターゲットとした対策に防煙効果がないにもかかわらず、いや、ないからこそ、タバコ産業は世界中で「未成年者喫煙防止プログラム」を推進している。タバコ産業が企業の社会的責任を果たしているとアピールする上でも好都合だからである。
 表に未成年者の喫煙予防対策に関する世界保健機関(タバコ規制枠組み条約FCTC)と南米におけるタバコ産業のアプローチの差を示した。2 大きな違いは、タバコ産業がタバコ税や受動喫煙対策にまったく触れないことである。さらにFCTCとタバコ産業が共に取り上げている禁煙教育でも、その内容に大きな違いがあることに注意を喚起したい。タバコ産業の禁煙教育とは成年になるまではタバコの誘惑を拒否しよう、未成年者喫煙禁止の法律遵守の態度を養おうというものである。一方FCTCは、ニコチン依存、受動喫煙の害等を含む喫煙の健康影響ならびに禁煙の効果についての包括的伝達を未成年者に対する教育の要点としている。
 これらの視点から、千葉県における実践を見ると、防煙教室の内容にニコチン依存・能動喫煙・受動喫煙の問題がしっかり位置づけられていること、教職員・保護者にも対象を広げ地域全体の取り組みとする方向を見据えていること、FCTCにうたわれた行政機関とNGOの共同を実践している(FCTC前文:…国内の及び国際的なタバコの規制のための努力において当該非政府機関及び当該構成員の参加が極めて重要であることを強調し…)など、多くの優れた点を挙げることができる。
 今後、千葉県での活動が、社会全体の包括的タバコ対策を進める中でこどもの喫煙予防を実現するというエビデンスに沿った内容に発展し、わが国における行政とNGOの共同によるタバコ対策の先進的経験となるよう期待したい。

【引用文献】
1. Lantz PM et al. Investing in youth tobacco control: a review of smoking prevention and control strategies. Tob Control. 9:47-63, 2000.
2. Sebrié EM, Glantz SA.: Attempts to undermine tobacco control: tobacco industry "youth smoking prevention" programs to undermine meaningful tobacco control in Latin America. Am J Public Health. 97:1357-67, 2007.

表 FCTCとタバコ産業の未成年者喫煙防止対策の比較2



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《資 料》

わが国初の行政と市民団体による多数校対象の大規模かつ計画的な防煙教育
~平成18年度千葉県委託「喫煙防止出前健康教室」事業への取り組み実践報告~


タバコ問題を考える会・千葉
大谷美津子、中久木一乗、紅谷 歩、丸山恵梨子、星野啓一、田那村雅子、大国義弘

キーワード:喫煙防止教育、出前健康教室、市民団体、行政委託、実践報告

はじめに

 わが国のタバコ対策は、国民の健康を守る厚生労働省ではなく、タバコ産業の利益を守る財務省により握られている。その根拠法が「たばこ事業法」である。これが足かせとなり、海外から喫煙対策後進国と指摘されてきた。能動喫煙対策と受動喫煙対策の遅れにより日本国民は大きな健康被害を負わされている。多くの心ある市民は、未成年や若い女性の喫煙増加を憂慮している。次世代を担う青少年やこれから生まれてくるであろう子どもたちに喫煙による疾病・障害のリスクを背負わせるべきではない。
 私たちの「タバコ問題を考える会・千葉」(市民団体)はこの状況を憂いて県内で禁煙活動を続けていたが、千葉県当局もまたこの問題を憂慮していた。
 後述する経緯によりこの二者が問題を共有することにより行政と市民団体との防煙教育コラボレーションが実現した。私どもの知る限り、この規模の共同作業はわが国初と思われる。平成18年度の千葉県委託「喫煙防止出前健康教室」事業(これ以降「出前教室」と略)は、行政(県)が未成年喫煙問題の本質を捉えた実践的かつ有効な包括的取り組みであったと考える。他の都道府県による同様な喫煙防止活動推進の広がりを期待しつつ、企画をしてくださった千葉県健康福祉部への敬意と感謝の念を込めて実践報告とする。

タバコ問題を考える会・千葉とは

 当会の特徴と活動内容は以下のとおりである。
1.市民運動として発足(平成11年)
ホームページ http://homepage3.nifty.com/tmkc-island/
2. 薬物防止運動の一部としての活動ではなく、タバコ問題に特化した県内唯一の団体
3. 毎月の定例会開催と会報発行(平成20年2月現在113号)
4. 医師、歯科医師など医療者を中心とした異業種・多職種による非営利の市民団体
5. 啓発講演実績(平成16年1月から17年12月) 千葉県警関連ー9回(対象:24施設) 、中学高校・学校保健会等ー7回、その他、学校、企業、民間グループなど 個人対応講演ー多数
6. 各種活動
 1) 船橋市環境フェアへの出展
 2) 受動喫煙対策優良店情報発信
 3) 優良店への感謝状贈呈
 4) 要望活動
 5) 記念講演・勉強会の開催他

委託打診までの経緯

 平成11年の会結成直後から、当会はタバコ対策に関して県当局と良好な関係を築いていたが、平成15年頃より急に禁煙関連の講習会の通知が届かなくなるなど県側の対応が変化し、戸惑いを覚えていた。しかし平成18年4月上旬、千葉県健康福祉部より「出前教室」の委託に関する打診があった。われわれは当初この打診に驚いたが、とりあえず説明を伺うこととした。
 県がどのような認識と期待を当会に持っているかが、受託の前提となるため問うたところ、次のような説明がなされた。「貴会発足当初より、毎月発行され県の担当課にも贈呈されていた会報を全て読みました。平成6年の船橋駅事件(歩きタバコが幼女の目を直撃)をきっかけに立ち上がり地道な活動をし、市民運動として純粋にタバコ問題に取組んできた貴団体に依頼すれば、必ず効果的な事業となると確信いたしました。毎月の定例会・会報発行・県警及び学校講演などの実績など、どれを見ても本当に真剣な思いがなければ続けて来られるものではありません。この事業は、限られた予算と期日で、効率的に多数校への周知、実施を必要としています。また、タバコ問題の進展には医療職のみではなく、ボトムアップを目指した社会全体の取り組みが必要であり、その為には貴会のような異業種・多職種による非営利団体が相応しいと判断しました」(平成18年4月18日船橋フェイス・市民サポートセンターでの県・健康福祉部担当者からの委託依頼説明より)
 この「喫煙防止出前教室」事業は若年者、特に若い女性の喫煙を防止する為に早い時期に喫煙防止教育が必要であるとの県の判断に基づいたものである。後に千葉県健康福祉部健康づくり支援課長はこう語っている。「近年、若い世代の喫煙者の減少率が鈍化し、さらには若い女性の喫煙率が増加する傾向が伺えます。若い世代での喫煙は、健康に影響が大きいうえ、特に女性は妊娠した場合に胎児への影響はもちろんのこと、出産後も乳幼児への悪影響が考えられます。そのため、千葉県では今年度から、若年女性の喫煙対策の一環として、「出前教室」を「タバコ問題を考える会・千葉」に業務委託し開始いたしました。一度タバコを吸ってしまってからでは、タバコに含まれるニコチンの影響により、やめようとしてもなかなかやめられなくなります。そのため、タバコを吸う前のなるべく早い段階の小・中学生等を対象に正しい知識を伝える必要があります。実際に、出前教室に何度か足を運びました。その中で、講師が話すタバコの害などについて熱心に聞き入る子どもたちが、「誰に最もタバコをやめてほしいですか」という質問を受けて、直ちに「お母さん、お父さん」と言うことを聞いていると、この子たちが生涯喫煙しないことを願うとともに、喫煙する母や父に、ぜひこの声を届けたいと願ってやみません。」(県から大谷への私信要旨)
 このような県の姿勢と認識を知り、タバコ対策問題を社会に広める上で有意義な活動であり、行政と共にタバコ対策を進める絶好の機会であると考え、当会は千葉県委託「喫煙防止出前教室」事業を受託することとした。

実施に向けた取り組み

 平成18年6月に受託した事業のあらましと県側の要望は以下のとおりである。
①なるべく多くの子ども達(幼・小・中)と教職員・保護者、最終的には地域も視野に効果的な啓発をしていただきたい。
②全学年同時に行い授業参観日の利用も考慮して受講者を増やす。
③予算は100万円。40校以上で実施されたい。
④講演先は当会で探す。探す援助はする。

 講演先開拓:新学期がスタートし、年間行事予定が決められた後の7月から出前教室先を自分たちで開拓することができるか心配はあったが、無煙世代・無煙環境の実現という当会発会以来の願いを実現しタバコ問題の周知・啓発の最高のチャンスとなしうる取り組みであるだけに、当会教育部会講師陣の士気は高く、個人的に各学校を訪問して、出前教室の依頼運動が開始された。また当会の代表と副代表は、当会会員である地方議会議員の紹介のもとに教育委員会などへの挨拶活動を行った。その際には、県の担当者の同行をいただくこともあった。さらに一市民団体が委託を受けた事に関連の諸団体が抱くであろう感情を考慮し、県内医療団体・教育委員会・PTAなどへの挨拶文を送付するなど十分な説明と周知に努めた。講演先を開拓するために各学校に出前教室の宣伝チラシ「タバコにサヨナラ! (ホントにこわいタバコのお話)(資料1)」を作り配布した。
 出前教室の講師:幅広い禁煙教育経験者を有する本会の教育部会が担当した(医療・教育専門家等14名)。講師謝礼はなく、無料奉仕をお願いした。
 講話の内容:茨城・無煙世代を育てる会代表、平間敬文氏著 (日本禁煙学会理事)「子供たちにタバコの真実を」(かもがわ出版)・「タバコってなんだ?」(インタープレス)を基本とした。
 出前教室の実際:二人一組を原則として各校に赴き、通常1校時(45分)の授業を行った(最長2時間)。受講者には2種類の教材を配布した(当会作成 「子ども達をタバコから守ろう」(資料2) 千葉県作成 「赤ちゃんをたばこから守ろう」)。また前記の「子供たちにタバコの真実を」(かもがわ出版)・「タバコってなんだ?」(インタープレス)を各校に献本した。

出前教室事業実施

 平成18年9月末から翌年3月初旬までに46回の出前教室を開催することができた。受講者数は7095名(生徒6455名 職員267名 保護者等373名)にのぼり、学校を通じて22140世帯に禁煙・防煙資料を届けることができた。県からいただいた予算のうち、出前教室の資料作成等の実費(1校当り約1万円)等として959,575円を使わせていただいた。
 社会的評価:この事業については、毎日新聞・読売新聞・朝日新聞各紙掲載・NHK-FM千葉ラジオ出演等多くのマスコミ報道がなされ、次年度開催の有無の問い合わせも殺到した。また、次年度も継続的に当会へ防煙教育講演をする事を希望する学校も多数あったため、専用メーリングリストを用いて予定の調整を行っている。また、千葉県禁煙指導者講習会において本実践の報告講演の場を頂いた。
 実施後の感想・評価:子どもたち、教職員、保護者、講師より多くの感想文、アンケートが寄せられた。ある保護者の手記をご紹介する。「以前、禁煙講演を聞きに行き、ニコチンパッチで禁煙できることを知った。早速試したがすぐに再喫煙してしまった。息子の参観日で喫煙防止出前教室を聞くこととなった。タバコがここまで悪いとは全く知らなかった。禁煙はニコチンパッチを貼れば済むという問題ではないことに気付いた。受動喫煙で家族を苦しめてきた事もようやくわかった。禁煙して8か月になる。前回と違ってタバコを欲しいとも思わない。まずはタバコの害についてのそれなりの知識がなければ禁煙は無理だと思う。隠れタバコも防ぎ得ないだろう。親も一緒に聞ける講演は効果があると思う。友人にもタバコの害を話した。彼も驚き禁煙して半年になる」
 平成19年度事業:小学校低学年と幼稚園児対象として年間50校以上・100万円の予算で当会委託となり、平成19年11月7日から教室講演がスタートし、平成20年2月末日までの4か月弱で53校において防煙・禁煙教育講話を実施した。この取り組みについては、後日日本禁煙学会において報告したいと考えている。

まとめ

 児童生徒、学校、講師の多くの人々に喜ばれ、マスコミからも継続への期待が寄せられる中で千葉県委託「出前教室」事業を無事終了させる事ができた。講演内容も従来から啓発が必要とされていたことだけではなく、刻々と伝わってくる最新の知見を加えることにより、講演する側の使命感と、受講者側の充足感を満たすよう心がけてきた。
資料1.タバコにサヨナラ! (ホントにこわいタバコのお話)
資料1.タバコにサヨナラ! (ホントにこわいタバコのお話)


資料2.子ども達をタバコから守ろう
資料2.子ども達をタバコから守ろう
 防煙教育といえば子どものみを対象にしがちであるが、たとえ学校で受講した子どもたちがそれを理解したとしても、帰宅した家庭で親が喫煙による幅広い害について無知であったり、教職員の意識の統一がされずに「喫煙することにも少しは理解すべき点が…」などといった感覚が残っているならば、無煙世代をはぐくむ歩みは遅くなり、救えたはずの多くの命と健康が失われてしまう。若い女性の喫煙率が増えつつある現在、二世代、三世代におよぶタバコの影響を今ここで食い止めることは喫緊の課題である。
 県からの要望として「限られた予算をより効果的に使う為にはクラス単位でなくせめて最小でも学年別、できれば学校全体を集めての教室にしてほしい、そして教職員・保護者の参加が望ましく、近隣の方々の参加も可」というものがあった。これは喫煙が今世紀最大の疫病という「伝染性」の強さを思えば非常に重要な視点である。クラス別や学年別に教室を開いたとしても、上級生場合によっては他クラスや問題グループの下級生による喫煙強要すらある現実を考えると、できる限り学校全体を集めての教室(講演)実施が効果的であろう。その上で学校内での養護、保健に関わる先生方が学年・クラス単位といった教室講話を繰り返し積み重ねることによって、無煙世代の育成が実質的に期待できる。
 県レベルの行政機関から市民団体への委託による多数校対象の計画的防煙教育は、この規模としては、恐らく全国初であろう。行政と民間の禁煙啓発団体との実効性あるコラボレーションが多くの都道府県で実践されることが、無煙世代を作るという壮大な事業の有力な推進力の一つとなるであろう。

謝辞

 この貴重な事業を委託して下さいました千葉県に心より感謝しいたします。本事業が次世代の健康社会を守るため、安定的に継続されることをお願い致します。
 また、経済的に厳しい社会情勢にもかかわらず草の根の市民が本業との調整をつけてボランティア活動を続けることはとても大変なことです。またこの事業の成功には演壇に立った講師ばかりでなく、水面下で支えてくれた会員達の尽力も多大でありました。空調から流れ込む副流煙による受動喫煙被害にもめげず、無煙世界の実現への祈りを込め縁の下で支えてくれた会員も多数おられました。そうした力を得て、皆で支えあい成功させた事業であったことを特記致します。


Local government-funded "Smokefree Youth Lecture Project" performed by a Chiba-based nongovernmental organization for smokefree society: Experiences and lessons from the first large scale collaborated project by the local government and NGO in Japan

Mitsuko Otani, Kazunori Nakakuki, Ayumu Benitani, Eriko Maruyama, Keiichi Hoshino, Masako Tanamura, Yoshihiro Ohkuni
Tabako Mondaiwo Kangaerukai Chiba:TMKC, Funabashi, Chiba, Japan

In 2006, Chiba local government asked Tabako Mondaiwo Kangaerukai Chiba(TMKC), an activist group for smokefree society, to perform smoking prevention lecture for pupils and students throughout its jurisdiction for $8000. As far as we know, this is the first collaboration project of local government and NGO for smokefree youth education. We made 46 smoking prevention lectures at 46 elementary and junior high schools, to 6455 students, 267 teachers and 373 parents. Antismoking brochure was distributed to 22140 families. This project gained many media coverage. Many schools wanted to repeat annual lecture of smoking prevention. In 2007, we have already carried 53 sessions funded by Chiba local government at kindergartens and elementary schools. Antismoking education is one of the important parts of youth smoking prevention. This collaboration will be a trigger toward comprehensive youth smoking prevention strategy building in our country.

Key words: smoking initiation, prevention, elementary school, junior high school, nongovernmental organization, local government, collaboration


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《資 料》

受動喫煙対策を行う上で欠かせないタバコ臭についての論考


深川市立総合病院内科医長 松崎道幸

キーワード:タバコ臭、環境タバコ煙、タバコ煙濃度、受動喫煙、浮遊粉じん濃度

<1> タバコ臭とは何か

非喫煙区域にタバコの臭いが漏れたなら、厚生労働省の分煙基準違反である

 厚生労働省分煙効果判定基準策定検討会報告書(平成14年6月)「4.新しい分煙効果の基準」http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/06/h0607-3.htmlは「喫煙場所から非喫煙場所に環境たばこ煙成分(粒子状物質及びガス状物質)が漏れ出ないこと」を受動喫煙防止の条件としている。それを受けて作られた「職場における喫煙対策のためのガイドライン」では、「視覚・嗅覚による煙の漏れのチェック」を分煙効果の評価項目のひとつとして挙げている。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/05/h0509-2.html
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/05/h0509-2c.html

タバコ煙には悪臭防止法で規制されている悪臭物質が9種類含まれている

 タバコを吸わない者は、なぜタバコの煙の臭いを嫌うのだろうか。それは、タバコの煙に悪臭防止法が規制する特定悪臭物質22種のうち9種類(アンモニア、アセトアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、トルエン、スチレン、キシレン)が含まれているためである。しかもこれらの臭気物質は同時に有害化学物質そのものであるから、臭いを吸い込むだけで健康に実害がもたらされる。これが他の迷惑臭、たとえばきつい香水などの匂いなどと違う点である。

いくら空気を入れ替えても、壁・床・窓・家具・空調システムに付着したタバコ臭成分が遊離するからタバコの臭いは残る

 室内の空気の臭い(空間臭)と、カーテンについた臭い(付着臭)をガスクロマトグラフィーで分析すると、タバコ煙の主要成分であるフォルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン・スチレン・ベンゼンなどの揮発性炭化水素化合物、ニコチン吸収を促進するために添加されたアンモニアなどが両方から多量に検出される。喫煙区域からタバコ煙の漏れが防げないオフィスでは、非喫煙区域の内装にタバコ煙が付着して、恒常的なタバコ臭発生源となる。タバコ臭の成分そのものが有毒な有機化合物であるから、シックハウス症候群あるいは化学物質過敏症を引き起こす危険がある(図1)。

<2> タバコ臭は重大な健康被害の存在証明である

 それでは、ヒトはタバコ煙濃度がどのくらいになったときタバコの煙の臭いを感ずるのだろうか?そしてその濃度でどれほどの健康影響がもたらされるのだろうか?本論考では、これらの点について論述したい。

臭いがわかるタバコ煙濃度

 Junker等(2001年)は、タバコ煙以外の臭い成分を除去した空気にタバコ煙を混ぜて実験をしたところ、タバコ煙濃度が約1µg/m3でも、ヒトはタバコの臭いを感じることがわかった。
【出典】Odor thresholds of sETS obtained from the olfactory experiments showed that a median odor sensation was perceived at very low concentrations equivalent to an ETS-PM2.25 concentration of approximately 0.6-1.4 µg/m3.(嗅覚実験によって得られた副流煙臭知覚閾値データによると、粒子径が2.25μm以下の環境タバコ煙濃度が0.6-1.4 µg/m3という極めて低いレベルでも被験者の半数がタバコのにおいを認識することがわかった。)(Junker MH, Danuser B, Monn C, Koller T. Acute sensory responses of nonsmokers at very low environmental tobacco smoke concentrations in controlled laboratory settings. Environ Health Perspect 109:1045-52,2001)

喫煙が自由に行われているオフィスのタバコ煙濃度

 「分煙効果判定基準策定検討会報告書」に添付されている資料によれば、喫煙が自由に行われているオフィスのタバコ煙濃度は0.1~0.2mg/m3すなわち100~200µg/m3である(図2)。http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/06/h0607-3.html#top

非喫煙者が家庭や職場の受動喫煙で死ぬ生涯リスク

 タバコを吸わない者が家庭の受動喫煙でどれだけ余計に死んでいるかを明らかにするため、ニュージーランドと香港で調査が行われた。
【出典】ニュージーランド調査:Hill S, et al.: Mortality among "never smokers" living with smokers: two cohort studies, 1981-4 and 1996-9. BMJ. 328:988, 2004.
香港調査:McGhee SM, et al.: Mortality associated with passive smoking in Hong Kong. BMJ. 330:287,2005.
 タバコを吸わない人を選び出し家庭で受動喫煙のある人とない人の死亡率を比べると、家庭で受動喫煙のない人と比較して受動喫煙のある人の年間死亡率がニュージーランドで14%、香港で30%高いという結果が出た。収入・持病・学歴・食事内容など死亡率に影響する多くの要因をそろえて計算しても、結果は変わらなかった。日本家庭の受動喫煙死亡率はおそらくニュージーランドと香港の間だろう。
 他人の行為のために14%余計に早死にしやすくなるということは重大事件である。なぜかというと、先進国では、ある集団を一生涯追跡しても、特定の環境汚染物質による犠牲者が10万人あたり1人以上出ないように押さえなければならないというルール(環境基準)があるからである(環境省 平成14年版環境白書)。一生追跡して10万人あたり1万4千人死ぬリスクは、環境基準の1万4千倍のリスクと表現される。
 受動喫煙の度合いに関しては家庭と職場にあまり差がないから、禁煙でない家庭や職場で蒙る受動喫煙のために非喫煙者が死ぬ生涯リスクは10万人あたり1万~2万人と見て差し支えない。


図1.タバコの付着臭と空間臭の成分
図1.タバコの付着臭と空間臭の成分


図2.喫煙を禁止することの効果
図2.喫煙を禁止することの効果

タバコのにおいがする!とわかったときの受動喫煙死亡リスク

 タバコ煙濃度が100~200µg/m3のオフィスでの受動喫煙死生涯リスクが10万人あたり1万~2万人なのだから、100分の1の濃度=1µg/m3のタバコ煙にさらされたときの受動喫煙死生涯リスクは10万人あたり100人~200人となる。
 わずかでもタバコのにおいがするというだけで、そこはすでに環境基準を100~200倍上回る致死的室内気汚染環境となっているのである。
 忘れてならないのは、1µg/m3の濃度でもタバコのにおいがわかると言うのは、他の臭い成分をカットした純粋な実験環境だからであり、様々な臭いが混じっている実際の職場環境では、タバコ煙を知覚する閾値はさらに数倍高濃度となることがじゅうぶん予想される。とすれば、現実の職場でタバコのにおいがするとわかったときには、10万人中数百人が受動喫煙死する環境となっていると考えなければならない。

受動喫煙による急性健康障害が起きるタバコ煙濃度

 (1)で引用したJunker等(2001年)の実験によれば、タバコ煙濃度が4 µg/m3になると、頭痛・めまい・はきけ・目・鼻・のどの刺激症状が発生する。
【出典】(1)と同じ。Observed concentrations facilitating eye, nasal, and throat irritations correspond to an estimated ETS-PM2.25 concentration of about 4.4 µg/m3.( 目・鼻・のどの刺激症状はタバコ煙による微粒子濃度が4.4 µg/m3となったときに出現する)
 非喫煙者に不快な症状が発生する濃度(4 µg/m3)は、タバコのにおいがわかる濃度(1 µg/m3)よりもわずかに高いだけである。かすかにタバコの臭いがするというだけで心身の不調が引き起こされるのは、「特異体質」でもなく、「神経質だから」でもない。有害物質に対する正常な生理的反応なのである。

浮遊粉塵濃度が低いにもかかわらず、タバコの臭気成分だけが検出される場合もある

 喫煙後換気をしても、室内の表面に付着したタバコ煙成分が再び空気中に遊離すると、浮遊粉塵濃度が低いのに、タバコ臭が存在するという状態になる。この場合、タバコ煙の粒子成分は少ないが、ガス成分が大量に残っていることになる。喫煙室や、長期間喫煙規制の行われていないオフィスや車両内でよく見られる現象である。
 この状況において、PM2.5の測定値だけで受動喫煙の状態を判断すると、再遊離ガス成分による化学物質汚染を見逃す危険がある。
 したがって、受動喫煙の有無の判定にあたっては、厚生労働省の基準に従い、粒子成分の指標(PM2.5)と嗅覚によるチェックの両方を行うことが必要である。


まとめ

1. 厚生労働省の分煙基準の要諦は喫煙室から煙が漏れないことにあるのであり、非喫煙区域にタバコ臭が広がっているならば、厚生労働省の分煙基準違反である
2. タバコ煙には悪臭防止法の規制対象悪臭物質が9種類含まれている
3. 喫煙区域からタバコ煙の漏れが防げないオフィスでは、いくら空気を入れ替えても、壁・床・窓・家具・空調システムに付着したタバコ臭成分が遊離するからタバコの臭いは残る
4. タバコ臭の主要成分であるフォルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン・スチレン・ベンゼンなどの揮発性炭化水素化合物、アンモニアは、シックハウス症候群あるいは化学物質過敏症を引き起こす有害物質である
5. ヒトの嗅覚は鋭敏であり、1立方メートル当たり100万分の1グラムのオーダーで喫煙所から漏れるわずかなタバコ煙を感知することができる
6. 喫煙所よりわずかでもタバコ煙が漏れるだけで、環境基準を数百倍上回る致死的空気汚染状態になる
7. 喫煙所よりわずかでもタバコ煙が漏れるだけで、非喫煙者に急性の健康障害が発症する
8. タバコ臭が感知されるということは、受動喫煙による健康被害が許容できないレベルであることの直接証拠である
9. 受動喫煙対策が万全であるかどうかを判定するには、粉塵濃度測定とタバコ臭の有無に関する嗅覚による判定の両方が必要である
10. 職場における受動喫煙被害をなくするためには、喫煙室の全廃が必要である


以上


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《WAT特集》

WALK AGAINST TOBACCO
2006
WEEK 9 REVISITED

Mark Gibbens

 なぜ、歩こうと思ったか
 鹿児島の佐多岬から、北海道の宗谷岬までの約3000 Kmを歩いて、このメッセージを伝えていきたいと考えています。

 あなたの健康を大事にして下さい。
 あなたの家族を大事にして下さい。
 あなたの友達を大事にして下さい。
 あなたの国 を大事にして下さい。
 禁煙は愛です!


 なぜ私がこのキャンペーンを計画したか、それは私はオーストラリアから来ています。オーストラリアは喫煙率の低い国です。でも、昔からではありません。人々が喫煙、受動喫煙の危険を知り、今の数字になっていったのです。政府はとても明確な喫煙の害のCMを流し、タバコの表示も写真付きでわかりやすくしています。タバコ税も高く、建物、バーであっても禁煙エリアは何%と法律で決まっています。
 今、世界の多くの国が禁煙の動きになってきています。政府の広告も日本に比べ、とてもはっきりと喫煙の危険を警告しています。
 ところが、日本は成人男性の47%が喫煙者と、驚く数字です。
 また、若い女性の喫煙率は増えていっているようです。
 これは、喫煙、受動喫煙の危険性の認識がそれほど重要視されてないからではと思いました。ただ、体に悪いとは知っていても、どう悪いのかといった知る機会がない。三度の食事より口にするのに何が成分でそれはどう体に影響する、またその煙の方が害があるのに、その影響もあまり知られていない。吸う人も吸わない人もそこを知る機会もなく、禁煙、分煙と言われてもただ困惑し、憤慨すると思います。それを知るべきだ、知ってもらいたいと歩く事にしたのです。
 また、私自身が主にICUの看護師でした。多くの医師、歯科医師が禁煙を推進しています。吸い続ける事がどんな事になるか、知っている私達が教えてあげなくてはいけない。治す事だけが、医療ではなく予防をする事も医療だと思います。こうして、歩くことも私の日本においてできる看護師としての仕事の一つと考えています。
 こうして、歩く事ははたして意味があるのかと思われるかもしれません。でも、何もしないよりした方がいいと思っています。このメッセージが一人でも多くの人に伝わるきっかけになればいいなと願い、遍路姿で歩きます。


前号からの続き―

 Unfortunately weather forecasting is an unpredictable business and on June 7th, day 56 of the walk we awoke to heavy rain rather than the predicted cloudy skies. Still I was determined to make an early start for a long days walk and the morning was unexpectedly brightened by our previous nights dinner companions arriving with local Medical Association President, Dr Kasuga to cheer us off from the hotel.
 I splashed through the puddles in my rain suit for the first hour, after which the rain eased and finally stopped as I pushed on relentlessly towards Fukushima, arriving at 4:30pm, some 8hours 30 minutes later having covered 58km.
 Meanwhile Reiko had organised our stay at the reliable Toyoko Inn, with internet access and laundry facilities so we were set for the night.
 The next morning I again used the computer for a couple of hours to catch up on my blog before checking out of the hotel at 10am. The day was an unremarkable, monotonous 6km/hr march toward Ogawara highlighted by an unexpected phone call from my Mother in Australia wondering why I hadn ’t been writing my blog. A situation which I had managed to rectify over the last two days, with another business hotel helping out with communications tonight.
 Day 58 started with a visit to the friendly staff at the Ogawara Community Health office, before setting out in the heaviest and most persistent rain of the entire campaign. Walking only in my Henro costume, I made the most of the bad weather adding some washing soap to my clothes and turning into bubble man as I washed and walked my way to Sendai. We were met on the outskirts by Miyagi TV who filmed a cold, wet, drowned, white rat walking into Sendai City.
 Checking in to the Metropolitan Hotel, I was revived by a hot bath and a hot cup of Starbuck ’s coffee and prepared to meet our Sendai host, Dr Yamamoto at 4:30pm for a visit to Sendai ’s JR Hospital where we met Dr Matsui, Director of the hospital and were told the hospital and parking area had recently become no smoking. We then looked at the smoking cessation service the hospital provides before moving across town to give a short anti-smoking education presentation to nursing students at the university, all the while being filmed by the guys from Miyagi TV. We concluded the day with an informal dinner with Dr Yamamoto, Dr Kurosawa and our next home stay host, Dr Otaki.
 The following morning on my “rest day” I managed to sleep in until 7:30am, then prepared to meet the Miyagi TV crew for some more filming outside JR ’s Sendai station, then met up with Dr Kurosawa at 9am and more filming on Aoba Dori, Sendai ’s famous tree lined avenue. We then walked to the International Centre to meet Dr Yamamoto and deliver a short anti-smoking message to the Miyagi Prefecture nurses at their annual conference.
 This was followed by a newspaper interview, lunch and then a meeting with the Station Master of Sendai Station where we congratulated him and the JR East Rail Company on their recent decision to become no-smoking. Since the decision the Station Master had only received angry complaints from some smokers so he was pleasantly surprised that we had come specially to thank him for the company ’s new policy. Which just goes to show that its just as important to remember to show our appreciation when we achieve a small victory like this.
 My rest day continued with meeting Dr Otaki at the station and with me and my flag leading the way, Dr Otaki, Dr Otaka and her sister handing out anti-smoking information leaflets we cruised the city ’s shopping arcades for an hour, then headed to a rose festival in the suburbs for more of the same. Returning to Dr Otaki ’s house, we got off the subway one stop early and walked through the beautiful Shinrin Park and back to his house.
 Call me crazy, but I was so impressed with the park that I immediately went back for a 5km run on pine covered paths, through a forest of trees, across muddy streams and up and down undulating terrain before returning to Dr Otaki ’s rose covered house for a cut roses bath. This was followed by a delicious meal of tomato soup, quiche and paella, all hand made by Mrs Otaki. I don ’t know if it was the run or the previous days walk in the rain but I easily fell asleep to the aroma of freshly cut roses in our guest room.
 The next day we said goodbye to the Otaki and Kurosawa families outside Sendai City Hall and began a relaxed days walking north under cloudy skies to the city of Osaki formerly known as Furukawa. After a stop at Starbuck ’s for a lunchtime coffee, I continued along Route 4 and met up with Dr Sasaki our next home stay host at around 4pm on his mountain bike which he used to guide me into Osaki. The wonderful Bungaku Watanabe also has relatives living here so we paid them a courtesy visit before driving 45km out of town to Dr Sasaki ’s farm where we met all four generations of the Sasaki family during dinner.
 As you would expect on a farm, everyone was up early, including us as we had to be at the Osaki City Office at 8:30am, over an hour away by car. We arrived just on time for a brief meeting with the staff before setting off on today ’s walk with some members from the public health section and Dr Sasaki, again on his mountain bike. The weather remained cloudy and cool and my pace was obviously too fast because my companions retired after a kilometre, leaving Dr Sasaki and I to traverse the undulating terrain.
 Around lunchtime, another city office and another group of walkers who also walked about a kilometre before returning to their lunch break. Shortly after 2pm, and another brief city office visit, I met up with 4 students and a teacher from Kurikoma Kogen Nature School who did very well to keep up with me over the last 12km into Ichinoseki. One of the students even collected cigarette butts and tobacco packet rubbish from the roadside as we walked along and carried an impressive anti-smoking poster which he had designed and which features in the photo gallery on my web page.
 Arriving at Ichinoseki City Hall we said farewell to the hard working students and entered the building for a meeting with Mayor Tobei Asai, an ex-smoker who recounted his own self disciplined method of quitting tobacco and the anti-smoking regulations he had implemented at the city office. Following this friendly meeting it was again back to Dr Sasaki ’s farm to play some backyard soccer with his kids, eat dinner and retire for the night.
 Day 62 saw us saying goodbye to the Sasaki family and their wonderful hospitality and heading back to Ichinoseki City Office to meet Mr Hashimoto and his staff in the public health section. After a very enjoyable and informative meeting lasting almost one hour, I began walking at 9:30am.
 An uneventful 40km of walking was energised at 4pm by two screaming women and a guy rushing towards me from a taxi on the outskirts of Kitakami, wearing t-shirts and waving fans and a banner all featuring images of me, and welcoming the Anti-Smoking Henro to Kitakami. These were the first of Dr Tamura ’s staff, sent to guide me into the city where we were joined by more staff and finally Dr Tamura and his wife as we walked past the famous Tenshichi Park to the hospital of Dr Oikawa, President of the Kitakami Medical Association, to be greeted by him and all his staff at the hospital entrance.
 From here another 20 minute walk to Dr Tamura’s “Hill Top ” Clinic for a 20 minute anti-smoking presentation to his staff, a quick shower and off to dinner with the same members plus Dr Tamura ’s four young daughters who taught me some new “hand”
games over a Chinese dinner whilst Reiko had a serious discussion about tobacco with the doctors. Returning to the ultra modern clinic, we enjoyed the use of his computers and clinic beds for the night.
 The last day of week 9 started by sharing breakfast with the Tamura family then the presentation of a big bag of gifts including fresh walking clothes and a send off by all the staff from the clinic at 8:15am with some of them walking with me to the outskirts of town. The temperature rose to a hot and sticky 26 degrees as I walked a fast pace to arrive at the Iwate Prefecture Medical Association building in Morioka City by 4pm.
 At 3pm I was well on schedule, meeting local activist Ms Murai as arranged and walking into town together. However from here, with three TV crews jumping over each other to film and interview us, we arrived 10 minutes late to the Medical Association welcoming committee, including Dr Konishi, Director of anti-smoking activities, and the President, Dr Ishikawa, for a relaxed meeting again filmed by the TV reporters. It was nice to finally escape to the peace and quiet of the mansion of Dr Tanaba, for a home stay and dinner prepared by his lovely wife and daughter, before preparing for tomorrow ’s longest day of walking.

To be continued・・・

写真1 宮城県看護協会総会で黒澤先生と


写真2 駅禁煙約束のJR仙台副駅長さんと


写真3 バラのお好きな大滝先生宅HS


写真4 一関保健所の皆さんと


写真5 栗原市にて


写真6 栗原高原自然学校の生徒さん達と


写真7 佐々木先生4世代のご家族宅HS


写真8 北上市医師会長、及川先生の病院前にて


写真9 坂の上の田村大志クリニックのスタッフの出迎え

写真10 坂の上の田村大志クリニックにて


写真11 右二人目の村井さん(宮城県医師会長さんと)
参考サイト:Walk Against Tobacco 2006 (Galleryにいろいろな写真があります)
※WAT:WALK AGAINST TOBACCO


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日本禁煙学会の対外活動記録
(2008年2・3月)
2月7日 WHO10億人の命を救うタバコ対策実施を呼びかける新たな世界保健機関報告書発表にあたって
2月19日 成人識別機能付きタバコ自動販売機に対する日本禁煙学会の見解
2月27日 日本政府のFCTC第11条履行義務違反に対する抗議文
2月28日 コンビニエンスストアに対するタバコ自動販売機に関する設置調査および自販機撤去の要請
3月3日 タバコ産業等から資金を受けている人を講師としない要請(都道府県および都道府県医師会に送付)


日本禁煙学会雑誌
(禁煙会誌)
ISSN 1882-6806

第3巻第2号 2008年4月15日

発行 特定非営利活動法人 日本禁煙学会


〒162-0063
新宿区市谷薬王寺町30-5-201 日本禁煙学会事務局内
電話 090-4435-9673
ファックス 03-5360-6736
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