|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
《原著論文》 | ||
山形県における禁煙タクシーの現状 | ||
山田菊地医院 山田修久 |
||
キーワード:禁煙タクシー、山形県、受動喫煙 はじめに 2003年5月1日、健康増進法が施行された後、公共の場の禁煙化は進んでいるようだが、遅々とした感はいなめない。 山形県ではタクシーの禁煙化は1999年夏に山形市のYH社が始め、全国でも先駆的であったが、その後の県内でのタクシー禁煙化の進展は余り目覚しいものではない。 一方、タクシーは全面禁煙にすべしという判決1)や、受動喫煙被害の民事訴訟勝訴2)などの動きや、医療機関の客待ちタクシーを禁煙車に指定3)するというような世相を受け、タクシー内での運転手の禁煙を義務化する会社も出てきている4)。 そこで、山形県におけるタクシーの禁煙化の現状を知るため、アンケート調査を行った。 |
||
|
||
《資 料》 | |
亀岡市における学校敷地内禁煙化の実現に向けて | |
亀岡市坂井歯科医院 坂井知明 |
|
|
《資 料》 | |||||||||||||||||
種子島の成人識別機能付き?タバコ自動販売機の実態調査 | |||||||||||||||||
大橋胃腸肛門科外科医院 大橋勝英 |
|||||||||||||||||
キーワード:タバコ規制枠組条約、未成年者の喫煙防止対策、成人識別機能付きタバコ自動販売機、ICカード式タバコ自動販売機、カメラによる成人識別方式 【要旨】世界保健機関(WHO)が推進した包括的なタバコ対策であるタバコ規制枠組み条約(FCTC)の中で、増え続ける未成年者の喫煙防止対策の強化が明らかになり、(社)日本たばこ協会、全国タバコ販売協同組合連合会及び日本自動販売機工業界が主体になってカード式タバコ自動販売機を開発し、平成16年5月から、人口が安定している種子島で試験稼働させている。成人に発行するのだから成人識別機能付きだと詭弁している。これとは別に大手自動販売機メーカーの株式会社「フジタカ」は、カメラによる対面方式で臨んでいる。導入以来、種子島署での喫煙補導人数は16年、17年とも減少したが、18年は激増している。この原因について詳しい分析は行われていない。 |
|||||||||||||||||
|
《WAT特集》 | ||||
WALK AGAINST TOBACCO 2006 WEEK 3 REVISITED |
||||
Mark Gibbens |
||||
|
||||
前号からの続き― |
||||
|
||||
参考サイト:Walk Against Tobacco 2006 (Galleryにいろいろな写真があります) ※WAT:WALK AGAINST TOBACCO |
禁煙外来から | |
診療録(3) 精神科疾患をともなう喫煙者の指導特集(10例) |
|
日本禁煙学会では禁煙指導をしているドクターやナースからの申請書類を厳正に審査し、禁煙専門医あるいは禁煙専門看護師として認定しております。その時に提出する診療録がすでに約1,300例集まっております。その中から、毎号数点ずつを選び、作成者の了解を得て、ご参考までに呈示いたすことに編集委員会で決まりました。 ただし、保険で治療が行われる以前の自費で行われていた時も含まれていますので、そのつもりでご覧下さい。禁煙指導が画一的なものでなく、個々の対象に合わせてアレンジしていくことの必要性を痛感できると思います。 なお、プライバシー保護のために、個人を類推される可能性のある情報は医学的解釈に影響のない範囲で省略・改変してあります。
症例1 49歳 女性 (喫煙歴) 20歳から49歳まで29年間、30本/日 (疾患・既往歴) 統合失調症 (禁煙指導) 20歳から好奇心で吸い始めた。1日30本。朝起きたら30秒でタバコに火をつける。タバコを吸わないとイライラする。ゴホゴホ咳をしながら吸っている。タバコの火の不始末が心配で、出かけてから確認に戻ることが何回かあった。 自分の健康のためにタバコをやめたいと、禁煙外来を受診された。ニコチンの依存が強いので、ニコチンパッチを使用して、行動療法も併用して、こまめに禁煙指導をした。 (経過) ニコチンパッチ30を4週、20を2週、10を2週使用して禁煙できた。本人は「やめて良いことばかり。やめて良かった。体が軽い。咳や痰がなくなった。さわやか。こんなに楽にやめられるとは思っていなかった」と言っている。 (転帰) 1年後禁煙継続 (考察) 統合失調症とニコチン依存症の合併例である。精神障害者は禁煙しにくいと言われているが、つねに喫煙の害や止めることのメリットを伝えているとこの例のように自ら禁煙を希望し、禁煙が可能であると考えられた。 症例2 55歳 男性 (喫煙歴) 23歳から約30年間。1日10本。 (疾病・既往歴) アルコール依存症・アルコール性肝炎・糖尿病・高血圧・不整脈 (禁煙指導) 友人に勧められて23歳から吸い始めた。1日10本。起床後1時間以上してから最初の1本を吸う。4回禁煙したが、周囲の人から勧められた1本で喫煙を再開した。入院中隣のベッドの人が禁煙外来で禁煙を開始したので、いっしょにやめたいと禁煙外来受診を希望された。 ニコチンの依存は強くないが、意識付けを兼ねてニコチンパッチを使用しながら、一服たりとも禁煙中は吸わないということを短い期間をくり返し設定してフォローした。 (経過) ニコチンパッチ30を3週使用して禁煙ができた。糖尿病はインスリン治療をしていたが、禁煙後はまったくクスリを使わずにコントロールができている。 (転帰) 1年後禁煙継続。 (考察) アルコール依存症とニコチン依存症の合併例である。アルコール依存症ではニコチン依存症の合併率が非常に高いが、アルコール依存症の治療が安定している時期には禁煙が可能であると考えられた。また、禁煙によるだけではないが、他の身体疾患においても良い治療効果をおよぼした。 症例3 30歳女性 (喫煙歴) 15歳から15年間。1日40本。 (疾病・既往歴) アルコール依存症 (禁煙指導) 好奇心から15歳でタバコを吸い始めた。1日40本。朝起きるとすぐにタバコを吸う。自分の健康のためとタバコ代がかかることにより、3ヶ月禁煙したが、1本くらいなら良いだろうと思い、また吸い始めた。今回、健診時に、禁煙を勧めたところ、夫も自分の禁煙を希望しているとのことで禁煙に踏み切られた。 ニコチン依存度は強いが、NRTは使わずに止めるとの決意あり、一服たりとも禁煙中は吸わないということを短い期間をくり返し設定してフォローした。 (経過) ニコチンパッチを使わずに禁煙を開始した。禁煙を初めて、2ヶ月。体の調子がよい。「息切れしない。食べ物が美味しくなった。生活費がすこし浮いた」とよろこびの声が聞かれた。 (転帰) 1年後禁煙継続 (考察) 一般に女性は男性より喫煙率は低いが、またアルコール依存症の禁煙は難しいが、医療スタッフの他に家族のサポートもあり、うまく禁煙できたと考えられる。 症例4 60歳女性 (喫煙歴) 20歳頃から60歳まで1日10~12本、多い時で20本を吸っていた。 (疾病・既往歴) アルコール依存症 (禁煙のきっかけ) いらいらすると本数が増えているので、そろそろ止めようと思った。 (禁煙指導) 数年前にニコチンガムで禁煙しようとしたが、意志が弱くてまた吸ってしまい、なかなか止められないという。アルコールの方は服薬でなんとか我慢できているが、喫煙はなかなか止められない。むしろイライラした時には本数が増えていたという。元々アルコール依存症の治療のために抗不安薬の投与をしていたため、イライラに関してはそれを利用して落ち着くように指導した。さらにニコチンパッチ30より開始。3週間継続した後に減量し、計約7週間使用した。 (経過) 1週目:禁煙は続いている。気分が滅入ることもない。 2週目:ややイライラするが、抗不安薬服用で自制内。禁煙も継続できている。 3週目:禁煙は続いている。しかし、まだ吸いたい気持ちは残っている。 6週目:タバコの誘惑はまったく感じない。吸いたい気持ちはほとんど生じていない。 7週目:ニコチンパッチは終了とする。禁煙は続いている。かなり自信もついてきた。 (転帰) 現在、12ヶ月後も禁煙は持続している。 (考察) 止めたい気持ちと吸いたい気持ちが入り乱れ禁煙が続かなかった症例で、アルコール依存に加えてニコチン依存も生じていたと思われる。イライラすると本数が増えていたが、それを抑えることで禁煙も成功していると思われた。夫も同じ時期に禁煙を始めており、それが支えになっているとも思われる。禁煙には、吸いたい気持ちのコントロールと共に、家族の援助が重要であると思われた。 症例5 35歳女性 (喫煙歴) 18歳から17年間。1日20本。 (家族歴) 夫と離婚して、二人の子どもと暮らしている。 (疾病・既往歴) 境界型人格障害 (禁煙のきっかけ) 自分の健康と子供たちの健康を考えて禁煙したい。 (禁煙指導) いままで禁煙を考えたことがなかった。離婚して子供たちとの生活となり、子どもから禁煙をすすめられた。いままで他院で禁煙指導を受けたり、市販のニコチンガムを用いたこともあった。しかし、これまでは禁煙失敗の繰り返しで、子供たちからの強い希望をきっかけに今回の禁煙を決意した。 (経過) 1週目:ニコチンパッチにより起床時や食後の吸いたい気持ちがほぼ消失した。 2週目:吸えないことでイライラしやすい。 4週目:禁煙継続。タバコのことは余り考えないようになってきた。 8週目:禁煙継続。パッチは使用しなくても吸いたいとは思わない。 (転帰) 禁煙を始めてから、現在まで1年3ヶ月間は禁煙が持続している。子どもは、母親の禁煙を大変喜んでおり、いざこざが絶えなかった家庭にも団らんが多少なりともある生活となった。 (考察)子どもたちの希望という大変重要な課題によって、あるいは境界性人格障害へ服薬していることにより、禁煙継続していてもイライラがあまり見られない。むしろ子どもとの関係も次第に良くなっている。この本人の言動から、人格障害に加え、喫煙および中途半端な禁煙が、さらに精神的な不安定さをもたらしていたと思われた症例であった。 症例6 40歳男性 (喫煙歴) 20歳から20年間、1日30本 (疾病・既往歴) 統合失調症、気管支喘息 (禁煙のきっかけ) 内科医からの強い指導による。 (禁煙指導) 長期間、統合失調症で入退院を繰り返していた。気管支喘息があるにもかかわらず喫煙しており、多少の呼吸器症状を訴え、さらに内科医からの強い指導もあり、これを機にタバコを止めたいと考えた。ニコチンパッチは30を3週間使用して、以後減量し8週間使用した。 (経過) 1週目:吸いたい気持ちが強い。喘息発作を生じており、喫煙は危険と繰り返し伝える。 2週目:禁煙は続いているが、タバコを見るとたまに吸いたくなる。 5週目:多少イライラはあるが、禁煙は続いている。 8週目:パッチを貼り忘れることもあるが、イライラしない。禁煙は継続している。 (転帰) 現在、1年間禁煙持続しており、喘息発作もなくなった。 (考察) 気管支喘息があるにもかかわらず、喫煙を継続していた症例。統合失調症をはじめとする精神疾患を持っている患者さんにはよくあることで、自覚がなかった。途中の喫煙はなかった。慢性的な精神疾患が会ったとしても本人の決意次第では禁煙も成功することが経験できた。 症例7 53歳女性 (喫煙歴) 18歳より35年間喫煙 (疾病・既往歴) 反復性うつ病性障害にて当院通院治療中。 (禁煙のきっかけ) 喫煙すると倦怠感などが生じるため。 (禁煙指導) 喫煙本数20本/日、 BI=700 , TDS 9点 初診時呼気CO 46ppm、起床後6~10分の喫煙あり。ニコチン依存度は中等度であり、ニコチン置換療法が禁煙成功に役立つむね伝えた。資料を用い、ニコチン依存症と喫煙の関係、喫煙の健康への害、受動喫煙の害について心理教育を施した。禁煙宣言書に記入してもらい、自宅の目に付くところに貼るよう指導した。また禁煙日記に記入するよう指導した。 (経過) ニコチネルTTS30より開始。禁煙を継続していたが、4週後の第3回外来ではニコチネルTTSによる接触皮膚炎あり。軟膏を処方し、貼付を続けるよう指示。8週後の第4回外来では、皮膚炎症状のためニコチネル使用は自主的に中断していたが、禁煙は継続。 (転帰・結果) 12週後の第5回外来でも禁煙継続しており、呼気COは1ppmであった。保険適用の全5回の禁煙治療を終了。 症例8 53歳女性 (喫煙歴) 25歳より28年間喫煙。 (疾病、既往歴) 双極性障害にて治療中。入院歴あり。 (禁煙のきっかけ) 夫が心筋梗塞で入院中。受動喫煙のことを知り、自分が禁煙しないと申し訳ないと感じたため。 (禁煙指導) 喫煙本数 40本/日、BI=1120、TDS 8点 初診時呼気CO46ppm、起床5分以内の喫煙あり。ニコチン依存度は高度であり、ニコチン置換療法が禁煙成功に役立つ旨、伝えた。資料を用い、ニコチン依存症と喫煙の関係、喫煙の健康への害、受動喫煙の害について心理教育を施行した。禁煙宣言書に書いてもらい、自宅で目に付くところに貼るように指導した。また、禁煙日記を記入するよう指導した。 (経過) ニコチネルTTS30使用にて、2週間後の第2回外来では完全に禁煙できているとのことで、呼気COも1ppmであった。ニコチネルTTS30を4週間、ニコチネルTTS20を2週間、ニコチネルTTS10を2週間と漸減、中止した。その間、第3回外来と第4回外来の間に1本ずつ2回の喫煙があったが、失敗を繰り返して止められるものであることなどを指導し、その後は禁煙を継続することができた。 (転帰) 12週後の第5回外来でも禁煙継続しており、呼気COも2ppmであった。本人も「禁煙を続けられそう」と話された。保険適用の全5回の禁煙治療を終了した。 症例9 75歳男性 (喫煙歴) 30歳より45年間喫煙。 (疾病・既往歴) アルコール依存症およびうつ状態。 (禁煙のきっかけ) 胸部痛、咳嗽、喀痰などの慢性気管支炎症状が辛いため。 (禁煙指導) 喫煙本数 13本/日、 BI=585、 TDS 10点 初診時呼気CO 9ppm、起床5分以内の喫煙あり。ニコチン依存度は中等度であり、ニコチン置換療法が禁煙成功に役立つ旨伝えた。資料を用い、ニコチン依存症と喫煙の関係、喫煙の健康への害、受動喫煙の害について心理教育を施行した。禁煙宣言書に記入してもらい、自宅で目に付くところに貼るように指導。また禁煙日記に記入するよう指導した。 (経過) ニコチネルTTS30から開始した。2週後の第2回外来では「1本も吸わなかった」と話し、呼気COも1ppmであった。ニコチネルTTS30を4週間、ニコチネルTTS20を2週間、ニコチネルTTS10を2週間と漸減し、中止した。その間、禁煙を継続していた。 (転帰・結果) 12週後の第5回外来でも禁煙を継続しており、呼気COも3ppmであった。保険適用の全5回の禁煙治療を終了した。 症例10 39歳 女性 (喫煙歴) 1日20本、15年間 (疾患) 統合失調症 (禁煙のきっかけ) 健康な体を取り戻したいという強い欲求 (禁煙指導の内容) 初診時BI=300, TDS 9点、 呼気中CO濃度 25ppm 統合失調症で精神科通院中。精神疾患関連のグループホームへ入所中。自分の精神状態を改善し、健康な体を取り戻したいという強い意志から当院の禁煙外来を受診した。ニコチン依存度が高いと判断し、ニコチネルTTSにて治療を開始した。 (経過) 1~6週目:ニコチネルTTS30にて治療を開始する。途中、4週目の時点でタバコを1本吸ってしまったことを悔い、自己嫌悪に陥ってしまったが、いままで禁煙できた成果を評価することにより、禁煙を続けることのモチベーションを維持することができた。喫煙者が多いグループホームでの生活をしており、精神疾患を持っていることもあり、当院スタッフが電話などで随時禁煙の状況や患者の精神状態を確認し、禁煙に対するサポートを継続したのが奏功したと思われる。 7~10週目:ニコチネルTTS20に変更。幸いこの時期は精神疾患の治療のため精神科に入院中であり、ニコチネルを減量しても再喫煙の欲求は起こらなかった。 11~12週目:ニコチネルTTS10へ減量。精神科を退院後グループホームへ再入院したが、ホーム職員の協力も得られ、禁煙が破られることはなかった。 (転帰) その後半年経過を見ているが、再喫煙することもなく、禁煙を継続できている。禁煙開始3ヶ月後に精神疾患の一時的な増悪は見られたものの、その後回復し、現在は安定している。 |
日本禁煙学会の対外活動記録 (2007年3月) |
||||||||||||
|
||||||||||||
|
||||||||||||
|
||||||||||||
|
||||||||||||
無断転載や商用利用、フレーム内表示を禁じます。 Copyright (C) 2007 Japan Society for Tobacco Control. All Rights Reserved. |
||||||||||||
|