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《原著論文》 | ||
加濃式社会的ニコチン依存度調査票を用いた小学校高学年および中学生における喫煙防止教育の評価 ―千葉県健康福祉部企画「喫煙防止出前健康教室」における調査― |
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星野啓一1,2,5)、吉井千春3,5)、中久木一乗1)、大国義弘1)、田那村雅子1)、紅谷歩1)、丸山恵梨子1)、加濃正人4,5)、大谷美津子1) | ||
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キーワード:喫煙防止教育、小児、加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)、心理的ニコチン依存 はじめに 2007年の厚生労働省調査によると、20歳代から30歳代の平均喫煙率は35%を超え、特に30歳代の男性喫煙率は54.4%を示している1)。また、中学校3年生男子の2.2%,女子の1.2%が毎日喫煙を続け、高校3年生では各々、13%、4.3%と特に男子において上昇が顕著である2)。一方、小学5年生の13%が喫煙経験ありとの報告もあるが3)、小学生に対しては大規模な喫煙実態調査が未だ行われていないのが実情である。タバコ会社にとって、これら小中学生は有力な将来の購買層であり、さまざまな方法で購入の動機付けが図られている4)。これに対して、小中学生に対しての喫煙防止に向けた介入はまだ十分ではない。 2006年9月から2007年3月の期間に千葉県健康福祉部の委託により、タバコ問題を考える会・千葉が千葉県内の教育施設(主に小中校、42校・46教室)で児童・生徒・教職員・保護者を対象とした喫煙防止出前健康教室(以下出前教室)を実施した。今回われわれは、この出前教室で加濃式社会的ニコチン依存度調査票(The Kano Test for Social Nicotine Dependence,以下KTSND)を用いた調査を行った。KTSNDは加濃、吉井らによって開発された、喫煙者・非喫煙者の社会的ニコチン依存を評価するための簡易質問票で、喫煙の効果の過大評価(正当化・害の否定)と嗜好・文化性の主張(美化・合理化)を定量化する質問群からなる5)。成人での有用性6,7)、小学生での有用性8,9)が言われている。 |
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《原著論文》 | ||
47都道府県喫煙対策の実際 | ||
日本禁煙学会47都道府県喫煙対策評価委員会 委員長 加藤一晴 理事長 作田 学 |
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キーワード:都道府県別喫煙率、県関連施設喫煙対策、学校敷地内禁煙、基幹病院禁煙化状況 |
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Smokefree policy of each 47 prefecture in 2007 Kazuharu Katou1, Manabu Sakuta2 To understand the present measures taken against smoking behavior, we carried out a questionnaire survey among each prefecture in our country. As a result, 41.75% of the responding male and 8.78% of those female were revealed smokers, respectively on an average. Concerning the non-smoking rule within the prefectural office, it was performed in 12 prefectures including fours in which smoking is prohibited even in parliamentary area. Whereas, the present practices of non-smoking in school, hospital, taxi or on the street seemed not necessarily well understood by administration in respective prefecture. Our questionnaire survey seemed useful as the responsible data source for passive smoking prevention agreement which would be established until 2010. Key word: smoking rate by prefecture, smokefree policy for prefectural premises, smokefree school, status of smoking ban in major hospitals 1. Chairman of the committee for evaluation on prefectural smokefree policy 2. Board Chairman of Japanese Society for Tobacco Control |
《原著論文》 | ||
Acute effects of cigarette smoking on blood pressure and arterial stiffness in habitual smokers. | ||
Akira Endo,MD,PhD1,4、Toshinori Kato,MD,PhD2、Shigeo Nakajima,MD,PhD3、Kazuo Itabashi,MD,PhD4. |
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Key words:cigarette smoking , blood pressure, arterial stiffness, pulse wave velocity,
the second derivative of the photoplethysmogram |
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Abstract |
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Introduction It is well known that cigarette smoking causes increase of risks of coronary artery disease1) and stroke2). Pulse wave velocity is an indicator of arterial stiffness, and a marker for vascular damage. Influence of cigarette smoking on arterial stiffness has been reported3-6), few reports concern acute effects of cigarette smoking on hemodynamic changes in Japanese habitual smokers. It seems relevant to determine whether cigarette smoking will change blood pressure and arterial stiffness in Japanese habitual smokers. The aim of this study was to assess acute effects of cigarette smoking on blood pressure and arterial stiffness by measuring brachial-ankle pulse wave velocity. Subjects and Methods Thirty-four habitual smokers (fifteen males and nineteen females) aged from 29.4 to 39.3 years (median 33.7 years, 25%tile 29.4 years-75%tile 39.3 years) were studied. Exclusion criteria were serious illness such as cancer or myocardial infarction, stroke, or peripheral arterial disease. None were taking anti-hypertensive agents. All subjects smoked one cigarette (Seven Stars, Japan Tobacco Inc.) within 3 minutes. Hemodynamic variables, including heart rate, blood pressure, arterial stiffness, and vasospasms were measured at baseline and 15 minutes. Arterial stiffness was evaluated with brachial-ankle pulse wave velocity (baPWV:form PWV/ABI;OMRON HEALTHCARE Co., Ltd., Kyoto, Japan). Heart rate and blood pressure were simultaneously measured with form PWV/ABI. Arterial compliance was assessed using the second derivative of photoplethysmogram waveform (SDPTG:Dyna pulse SDP-100;FUKUDA DENSHI Co., Ltd., Tokyo, Japan). The SDPTG consists of a, b, c, and d waves. Wave heights are influenced from circulating blood volume of finger apex, ratio of height of d-wave to height of a-wave (d/a) was used as an index of arterial comliance7,8). A negative value of d/a is big, arterial compliance decrease. The subjects were informed about the nature of the study and all gave their consent to the procedures. Statistical analysis was performed using SPSS version 11. Data were expressed as median (25%tile-75%tile). Wilcoxon-t-test was used for comparison of continuous variables. Spearman's rank correlation coefficients was used to determine the significance of differences between blood pressure and d/a, and between baPWV and d/a. Differences were considered significant at p<0.05. Results Table 1 shows changes of heart rate, blood pressure, baPWV, and SDPTG. No heart rate change was observed after cigarette smoking. Compared with baseline, both systolic and diastolic blood pressures raised significantly at 15 minutes after cigarette smoking, but pulse pressure had no change. Mean baPWV increased significantly from 1240.8(1064.6-1310.5) to 1246.0(1075.1-1374.0) at 15 minutes. D/a of the SDPTG had no change. Systolic blood pressure and diastolic blood pressure correlated inversely and linearly with d/a of the SDPTG (Table 2). BaPWV also correlated inversely with d/a of the SDPTG (Table 3). |
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TABLE 1. Changes of heart rate, blood pressure, baPWV, and SDPTG |
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《WAT特集》 | ||||||||
WALK AGAINST TOBACCO 2006 WEEK 6 REVISITED |
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Mark Gibbens |
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参考サイト:Walk Against Tobacco 2006 (Galleryにいろいろな写真があります) ※WAT:WALK AGAINST TOBACCO |
《歴 史》 | ||
タバコのHistorical Accidentに関わったキリスト者医師「堀 俊造」について | ||
落合病院 山代寛 |
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キーワード:堀 俊造、同志社、京都看病婦学校、村井兄弟商会、落合教会 |
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Historical Accident ここで日本のタバコ政策について少しふれておきたい。落合教会の会堂が出来た1896年、タバコが膨大な利益を生むことに日清戦争後財政難に陥った政府が目を付け、葉たばこ専売法が制定された。当時、米国ではJ.B.Dukeが、四大シガレットメーカーを傘下に入れ、全米80%のシェアを持つアメリカンタバコカンパニーを設立。東洋市場を狙い、1899年(未成年者喫煙禁止法がキリスト者の国会議員 根本 正によって衆議院に提出された年,翌年制定)、既にアジアに進出をしていた村井兄弟商会を資本傘下に入れた。 葉たばこ専売法が制定されたものの、葉たばこの密耕作や横流しが横行し、目標の税収を得られず、1902年J.B.Dukeによりブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が設立され、欧米のタバコ資本によって国内のタバコ産業が独占される恐れが強くなった。また、日露戦争の戦費を調達する必要にも迫られたため、政府は1904年、煙草専売法を施行、タバコの製造専売を行うことにより、欧米資本を駆逐。その段階で村井に膨大な富がもたらされた(京都円山公園内には往時を偲ばせる村井の別荘「長楽館」が京都市の文化財として保存されている。)。その後タバコによる税収は国税において大きな割合を占め、第二次大戦後も、1985年まで日本専売公社によるタバコの専売が続き、現在のJTに受け継がれている。この日本がタバコ大国となった歴史的な巡り合わせについて、第2回禁煙学会総会において厚生労働省の吉見逸郎氏は特別講演の中でHistorical Accidentと名付け触れられたが、このHistorical Accidentに堀 俊造は関わったといえる。 堀 俊造の生い立ち 堀 俊造とはいかなる人物か?われわれに伝わる話では病院や教会堂にほど近い現真庭市落合垂水の医家に生まれ、神戸に出て、医学の研究中にキリスト教に接したという。それは切支丹禁止高札廃止(1873)よりも以前であった。堀は帰郷して、現在の落合小学校前で医業を継ぐが、1882年、高梁教会で受洗し、その後は自宅を開放して集会を続け、同信の者を得ると高梁教会に伴って受洗させ、1886年美作落合教会を誕生させた。落合教会は初め氏の自宅を仮会堂としていた。その後、堀は新島 襄に請われ同志社の校医として京都に移ったという。その後の消息はその村井とのエピソード以外よく分かっていない。まずはこの当地に伝わる堀氏の話が本当なのかどうか、同志社大学神学部に問い合わせたところ、同志社大学には堀氏の一次資料は存在しないという返書と、豊中で皮膚科医院を開業されている長門谷洋治先生のご研究の一部(同志社百年史の一部2) A4のコピー2枚)をいただいた。その資料には堀 俊造は佐伯理一郎(日本の産婦人科学、看護学の先駆者で、William Oslerのただ一人の日本人の弟子)の前任者として京都看病婦学校に1897まで実質的な責任者として在籍していたと記載されており、私たちに伝わる話が大方誤りでなかったことが確認できうれしく思ったのだが、1897以降の消息が謎のまま残ってしまった。日本基督教団高梁教会、日本基督教団神戸教会にも何か手がかりがないか当たってみた。高梁教会には落合教会創設期の資料,当時の基督教の新聞である福音新報、七一雑報などがあり、堀についてかなりの量の記事が発見でき,ここでも伝承が正しいことが確かめられた。京都に移ってからの資料はなかったものの、高梁教会の牧師で同志社大学大学院博士過程に籍を置く八木橋康広牧師に興味を持っていただき、調査にご協力いただくこととなった。神戸教会からは、堀 俊造が神戸にいたころは他の名前を名乗っていたのではないかと言うヒントをいただき、インターネットで検索したところ 〔明治五年〕十一月三日米国デビス氏ヲ聘シテ英学教授所ヲ神戸宇治野町二開ク結社人員八名 岡田実(加州大聖寺)、阿部昇三(長崎)堀希一(作州落合)、須川二郎(作州津山)、倉谷藤平(大聖寺)、 前田泰一(摂州三田)、耕三兄及ビ高吉(当時仮に関貫三と言う)結社金三円ヅツヲ出ス3) という記事を発見した。 1872年、松山高吉(関貫三)、前田泰一らの発起により八部郡 宇治野村(現在は神戸市中央区下山手通)に宇治野英語学校を創設したことは明治のキリスト教史上有名な出来事であり、堀 希一(作州落合)こそ堀 俊造ではないか、また前記 根本 正も若かりし頃この英語学校の宣教師O.H.Gulickに学んだとされ、堀との接点があるのではないかと考えられた。 堀や根本が神戸にいた当時の米国宣教師の教えはいかなるものであったか?O.H.Gulickの日本語教師、市川栄之助による資料によれば、 耶蘇の教えと申すは、是迄念じ候神仏を廃し、 一心に耶蘇を信仰致し、淫事酒莨(酒とタバコのこと) を禁じ、正直を旨とし、虚言を謹し候等の戒めを守り候様教授致し候4) とあり、禁酒禁煙、正直誠実な市民生活が、明治初期の神戸においてアメリカ宣教師から 伝えられたキリスト教倫理であったことがわかる。このタバコについての教えは、130年の伝統の継承者なのだという自覚を私にもたらしたが、そのような教えを受けていた堀がなぜタバコによる金儲けに手を貸す事になったのか疑問に思えた。そんなおり八木橋牧師から、「高梁教会で堀と接点があった牧師,森本介石(後に改名し松村介石、道会創始者で大川周明らを指導した)は米国宣教師への反発からかキリスト者が禁煙する必要はないと公言し若者の支持を得ていた」というエピソードを聞かされ、必ずしも明治のキリスト者が根本 正や日本基督教婦人矯風会のように反喫煙でまとまっていた訳ではない事を学んだ。それからほどなく、再び八木橋牧師から、新島 襄の墓参りに行ったおりに堀の墓を京都若王子山にある新島襄の墓のすぐ側に発見した、という驚きの知らせをいただいた。 |
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堀 俊造の残したメッセージ タバコの問題が十分認識されていなかった時代にタバコと関わりを持ってしまった医師でありキリスト者である堀を知ることで、彼から時空を超えたメッセージを受け取っているように思う。それは「Historical accidentを日本のタバコ事情を肯定する言い訳とせず、自らの信仰と職業上許されざる結果になってしまった過ちを世に知らしめ喫煙対策に邁進せよ」というメッセージである。 参考文献 1) 日本基督教団美作落合教会創立120周年記念誌 2007年 2) 長門谷 洋治:同志社百年史 通史編1 第十一章 京都看病婦学校と同志社病院 第一部創業と成育.同志社,京都,1977,313−315 3) 茂 義樹:明治初期神戸伝道とD・C・グリーン.日本キリスト教史双書. 新教出版社, 東京, 1986, P.107 4) 茂 義樹:明治初期神戸伝道とD・C・グリーン.日本キリスト教史双書. 新教出版社, 東京, 1986, P.60-P.72 関連ホームページ 1) 日本基督教団美作落合教会ホームページ http://ww1.tiki.ne.jp/~banno/ 2) 新島遺品庫資料の公開【部分公開】新島襄ショートストーリー◆38.医学教育 http://joseph.doshisha.ac.jp/ihinko/bubun2/column/38.html 3) 明治初期神戸伝道と三田藩士 伝道の開始 http://www.nogami.gr.jp/rekisi/kobe_dendo/eigogakko.html (関貫三:旅日記.1872年) 4) 明治初期神戸伝道と三田藩士 神戸公会の創 2.教会員の生活 http://www.nogami.gr.jp/rekisi/kobe_dendo/kyoukai_innoseikatu.html (市川栄之助:糺弾口書.1871年) |
日本禁煙学会の対外活動記録 (2007年8・9月) |
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