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《巻頭論文》 | |||
病院における「敷地内禁煙」について | |||
札幌社会保険総合病院 秦 温信 |
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《WAT特集》 | ||||
WALK AGAINST TOBACCO 2006 WEEK 2 REVISITED |
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Mark Gibbens |
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前号からの続き― |
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参考サイト:Walk Against Tobacco 2006 (Galleryにいろいろな写真があります) ※WAT:WALK AGAINST TOBACCO |
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禁煙サロン | |||||||||||||||||
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若い女性の喫煙率がふえていると聞きました。 そこで自身の体験を生かした、禁煙方法をお伝えしていきたいと考えました。 やめたいけれどやめられない女性たちへ。 できるなら禁煙することでのメリットを感じながら毎日を過ごしてもらえるように。 日々を大切に、未来を明るいものにできますように。 そんな願いを込めて綴っていきます。 よろしくお付き合いくだされば、と思います。
「肌年齢」は肌を測定し、水分、油分、キメなどのバランスを総合的にみて、何歳の肌の状態に近いかというもので、実際の年齢ではありません。 肌の状態の年齢です。 わたしは、その時、「50歳代の肌です。」と言われました。愕然としました。うら若き20歳を少し越えただけの私です。 少し大げさに言われたのだと思おうとしながらも、タバコを吸わない友人は、自分の年齢より少し高いだけでした。 大きく拡大された私の肌は、きめの粗さが一目でわかるものでした。 先日、わたしはまた、化粧品売り場で肌年齢を調べてもらう機会がありました。 肌がきれいになったことは感じていました。禁煙をしてしばらくしてから、長年の悩みだったクマが消えました。 そして禁煙によって、自分の体をいたわるようになり、化粧品も天然素材を使用したものに変えていましたから。 けれど若い頃よりもきれいになるなんてことあるわけないと思っていたのです。 驚きました。測定した私の肌は24歳。(私の実際年齢以下です) 禁煙してから5年以上がたちますが、年齢を重ねるよりも喫煙の方が肌を衰えさせていたことを知りました。
3、禁煙しているとき、きれいなお水を体内に。
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禁煙外来から | |
診療録(2) |
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日本禁煙学会では禁煙指導をしているドクターやナースからの申請書類を厳正に審査し、禁煙専門医あるいは禁煙専門看護師として認定しております。その時に提出する診療録がすでに約900例集まっております。その中から、毎号数点ずつを選び、作成者の了解を得て、ご参考までに呈示いたすことに編集委員会で決まりました。 ただし、保険で治療が行われる以前の自費で行われていた時も含まれていますので、そのつもりでご覧下さい。禁煙指導が画一的なものでなく、個々の対象に合わせてアレンジしていくことの必要性を痛感できると思います。 なお、プライバシー保護のために、個人を類推される可能性のある情報は医学的解釈に影響のない範囲で省略・改変してあります。
1) 年齢57歳、男性 (喫煙歴) 20歳から35年間 1日16本 (疾病・既往歴) う触、喘息(軽度) (禁煙のきっかけ) 虫歯の治療で当科に通院していた。ユニットに座って自分の治療順番を待っている間に、隣の患者さんへの禁煙指導を聞いていて、自分も禁煙指導を受けたいと言い出した。1~2ヶ月前より痰がつまり内科へ通院し軽い喘息と診断された。禁煙した方が早く治るのかどうか病気のことを知りたいという希望があったため、禁煙指導をおこなった。 (禁煙指導) パンフレット、本を使用し、タバコの害で肺が壊れていくことを説明。肺癌の死亡率が4~5倍になることや他にもいろいろな病気を引き起こすことを説明した。一方で、禁煙の効果として、7年間の禁煙で肺癌危険率が65%も減少することを説明した。歯科治療のたびごとに、資料を用いて全身的な病気について説明した。また、歯周病とタバコ、歯の喪失の関係などを説明した。 (経過) はじめは「禁煙に関心はない」と質問カードに記入していた。が、禁煙指導をはじめて4週目になったときに2日前から禁煙したと言い出した。そこで、これできっと痰の切れも良くなること、肺癌になる危険率も低くなること、ぜひ継続するように、1本の喫煙で元の木阿弥になるので、注意が必要なことなどを具体的に指導した。 (転帰) 禁煙できた。禁煙指導後1~4週目:関心度が「1ヶ月以内に禁煙してみようかな?」というところまで高まってきた。4~6週目:数日禁煙してみたり、また吸ったり、本数を減らしてみたりした。6週目:禁煙できた。吸いたくなるときはあるが、指導された禁断症状の対処法(水を飲むなど)で十分我慢できるとのこと。8週目で歯科治療は終了したが、終了後も禁煙継続し、10ヶ月後の電話調査でも禁煙が継続している。また喘息も落ち着いており、禁煙して良かったと喜んでいた。 (考察) 病気になって不安を抱えているときには患者さんはすぐには禁煙できないにしても、喫煙と病気の関係について本当に熱心に聴こうとする。そういう時をとらえて啓蒙することが効果的と考える。主治医が忙しくて禁煙指導できなくても、看護師でも歯科医でも医療従事者の誰かから気軽に禁煙指導を受けられるような体勢が望ましい。 また高齢になってからでは禁煙しても効果がなく苦しいだけ損をする、と思ってしまうと、禁煙への意欲が萎えるので、禁煙でこのような具体的な効果が得られるのですよ!と言う説明が大切と考える。 2) 年齢22歳 女性 (喫煙歴) 問診表に記載なく不明であるが、3~5年と思われる。1日10本。 (疾病・既往歴) 舌、口内炎。 (禁煙のきっかけ) 体調が悪いときに扁桃腺が腫れたり、口内炎ができたりするので、以前からタバコはやめた方が良いと思っていた。口の中がしみて痛いので、今はタバコを吸える状態ではない。 (禁煙指導) ヘルペス性口内炎はバルトレックスで軽快。口内炎がひどいため、タバコは吸えないでいたが、このまま禁煙するように勧めた。タバコで免疫力が低下し、そこへウイルスが侵入増殖して口内炎を引き起こしやすいことを図で説明した。タバコで低体重児が生まれやすいこと、口蓋裂の子ども が生まれる確率が増すことなどを説明。また十代から喫煙していた場合は肺癌になる確率が成人してから喫煙した人よりもさらに倍になることなどを説明し、ぜひこの機会に禁煙するよう強く勧めた。 (経過・転帰) 初診時の関心度は「1ヶ月以内に禁煙する予定」と言うことであったが、口内炎がひどいため初診時から禁煙していた。8日間の治療期間で3回受診し、毎回禁煙指導を行ったが、終了時も禁煙していた。11ヶ月後の電話調査でもそのまま禁煙が継続していた。電話調査では口内炎はずっと落ち着いているとのことであった。 (考察) 若い女性の場合はなかなか禁煙に関心を寄せてくれない人が多い。これまでも何度もうまくいかない例が多かった。全身状態が悪かったが、肺癌になる確率や妊娠について、生まれる子どもの奇形について、ニコチンの依存性は麻薬と同じなのだということについて写真でくり返し説明した。身体の状態が悪い時を逃さずに禁煙へ誘導していくことが大切と思われる。 3) 年齢60歳 男性 (喫煙歴) 20歳から20本/日 (疾病・既往歴) アルコール依存症、COPD (禁煙のきっかけ) 数年前から息切れを自覚。近医で肺気腫を指摘され、1ヶ月前に肺機能検査も施行された(%FEV1.0 24%: COPD stage IV)。 初診前日にアルコール依存症のため入院し、この機会にタバコも一緒にやめようと決断し、禁煙外来を受診。 (禁煙指導) 初診時、TDS 8点、FTND 7点、KTSND 18点。肺気腫は治療できない病気ではなく、治療の第一歩が「禁煙」であることを強調し、またアルコール依存の治療と同時進行で行うことは、非常に良いことであると励ました。翌日よりニコチネルTTS(30)貼付を開始し、COPDの薬物療法は、禁煙終了時から開始することにした。 (経過) 1週後:喫煙欲求あるも自制内。禁煙パイポ併用。息切れの改善を自覚。 6週後:ニコチネルTTS(20)貼付中。タバコを吸いたい気持ちは98%くらいないとのこと。禁煙パイポ併用中。 7週後:禁酒よりも禁煙が難しいと言いつつも、禁煙は継続できている。ひまな時に吸いたくなるとのこと。ニコチネルTTS(10)へ減量。 8週後:吸いたいが吸っていない。 9週後:吸いたい気持ちはあるが、吸ってしまったら今までの努力がだめになるという思いがある。ニコチネル終了。KTSND 18点。 11週後:肺機能検査を実施。%FEV1.0 32%と、禁煙のみで前回よりFEV1.0が310mLも改善した。 (転帰) その後は、呼吸器外来の患者としてCOPDの薬物療法を開始したが、6ヶ月後も禁煙は継続できている。KTSNDは7点と著明に低下した。 (考察) 2つの依存症を同時に治療し、両方とも成功した。アルコール依存の入院治療は、同時にニコチン依存の治療のためにも良い機会であると思われた。さらに禁煙のみで肺機能(1秒量)が9歳くらい若返り、改めてCOPD治療の第一歩が禁煙であることを実感した。 4) 年齢32歳 男性 (喫煙歴) 23歳から1日20本。2年前に1ヶ月禁煙したが、ニコレット依存症になりかけた。 (疾病・既往歴) なし。 (禁煙のきっかけ) 子どもが生まれて、禁煙を真剣に考えるようになった。 (禁煙指導) 初診時、TDS 9点、FTND 8点、KTSND 11点で、心理的依存より身体的依存が強いタイプと思われた。ニコチネルTTS(30)から開始し、身体的依存が強いタイプなので、しっかりニコチン置換療法を行うこと、また依存症の一般的な話をした。ミント系のタバコを吸っていたので、ハッカの飴も使用したいとの希望があり、食べ過ぎない範囲で許可した。 (経過) 1週後:初日の夜のみ禁断症状があったと報告するも、それ以外はパッチ貼付で自制内だった。「禁煙セラピー」を読んで、気持ちが楽になったとのこと。 2週後:禁煙は継続しているが、職場はほとんどが喫煙者のため、吸いたい気持ちがまだある。「リセット禁煙」の本を貸し出し。 4週後:吸ってはいないが、まだ吸いたい気持ちはある。リセット禁煙でアルファ波のことなど学んだ。ニコチネル(20)へ減量。 6週後:パッチが小さくなっても大丈夫。しかしゆるい禁断症状はある。ニコチネル(10)へ減量。 8週後:問題なく終了。ハッカの飴に依存しているかも知れないと思っている。 KTSNDは5点に低下。小のパッチを1枚だけお守りに処方して終了。 (転帰) 半年後も禁煙継続。 (考察) 身体的依存が強いタイプであったが、ニコチン置換療法と同時「禁煙セラピー」や「リセット禁煙」を読んで、心理面からの努力も怠らなかった。知的レベルが高い患者さんの場合、文献や本の併用も有用と思われると同時に、「子どもが生まれた」という動機づけの強さに感銘を受けた。 5) 年齢55歳 男性 (喫煙歴) 14歳から20~30本/日。 (疾病・既往歴) うつ病。 (禁煙のきっかけ) 咳が出るようになったため。 (禁煙指導) KTSND18点。朝の1本は起床後5分以内に喫煙。初診時に、タバコがストレスを解消する作用がないこと、喫煙習慣を持つことは、ニコチン切れのストレスを作るだけで、タバコに唯一効用があるとすれば、それは自ら作ったニコチン切れのストレスを解消する作用だけ、と言う話をした。これまで指導した患者さんの中で、この話をもっとも傾聴した人で、話が終わると同時に表情もまったく変わった。ニコチネルTTS(30)より処方。 (経過) 17日後:最初の数日は頭痛があったが、氷水で対応した。隣でタバコを吸われてもまったく吸いたい気持ちはない。タバコを吸っていなくて最高の気分。 4週後:イライラもないし、むしろ喫煙所の前を通ると臭く感じる。喉が渇くので、水を多めに飲んでいる。ニコチネル(20)へ減量。 6週後:他人のタバコを臭く感じる。タバコを吸う人の横にはいられない。ニコチネル(10)へ減量。 (転帰) 禁煙1年半継続中 (考察) タバコの害を話すよりも、最近ではタバコの効用と考えられていること(ストレス解消作用など)を否定する方が重要と考えている。その点で、この症例は初診時の簡単な指導だけで、タバコ嫌いになった貴重な症例である。 6) 年齢35歳 男性 (喫煙歴) 20歳から30本/日。 (禁煙のきっかけ) テレビで喫煙の有害性を知ったため。 (禁煙指導) 1)ニコチネルTTS漸減療法 2)1日3回の規則正しい食生活 (経過) 平成**年5月10日禁煙を希望し来院。依存度スコアは8点で、CO濃度は13ppmであった、意思確認をおこない、禁煙同意書に署名。ニコチネルTTS(30)1枚/日で開始。ニコチネル開始直後より、喫煙本数0~5本/日へ減少。治療開始後、第13日目より0本/日となり、完全禁煙となった。6月9日よりニコチネルTTS(20)1枚/日へ減量するも同様に喫煙本数0本/日を維持したため、6月24日よりニコチネルTTS(10)へ減量するも完全禁煙の状態は維持し、7月7日よりニコチネルを中止。同年6月28日の段階でも禁煙状態は守られていた。7月7日の段階で依存度スコアは0点へ、CO濃度は2ppmとなった。 (問題点) 1)ニコチネル貼付にともない、皮膚のヒリヒリ感を自覚。このため貼る場所を、毎日換えるように指導。 2)入浴後にニコチネルの再貼付が粘着力の低下によりできず、テープが足りなくなり、補充した。 (転帰) 治療2ヶ月目で禁煙に成功。 7) 年齢52歳 男性 (喫煙歴) 19歳より25本/日 (禁煙のきっかけ) 保険適応になることを知って (禁煙指導) 1)ニコチネルTTS漸減法 2)運動療法:歩行(通勤時に歩行時間を30分多く行ってもらう) (経過) これまでニコチンガムで禁煙を行ってきたが、長続きせず(最長で35日間)、加えてガムのため歯が悪くなったため当院にニコチンパッチによる禁煙を希望し平成18年6月6日来院。依存度スコアは8点で、CO濃度は17ppmであった。意思確認をおこない禁煙同意書に署名。ニコチネルTTS(30)1枚/日で開始。ニコチネル開始後7日までは、ニコチンガムを併用することなく喫煙本数0本/日となった。6月25日よりニコチネルTTS(20)1枚/日へ減量するも、同様に喫煙本数0本/日を維持したため、7月18日よりニコチネル(10)へ減量するも完全禁煙の状態は持続し、8月3日よりニコチネルを中止。8月3日の段階で依存度スコアは0点へ。CO濃度は3ppmとなった。9月2日の段階で禁煙が継続されていることを確認。 (転帰) 治療2ヶ月目で禁煙に成功。 8) 年齢34歳 男性 (喫煙歴) 20歳より40本/日 (禁煙のきっかけ) 体に悪いと思い。 (禁煙指導) 1)ニコチネルTTS漸減法。 2)1日3回の規則正しい食生活、十分な睡眠の確保。 (経過) (統合失調症で近医通院中、一人暮らしでデイケアを受けている。)平成**年7月6日禁煙を希望し来院。依存度スコアは10点で、CO濃度は44ppmであった。意思確認をおこない禁煙同意書。ニコチネルTTS(30)で開始。ニコチネル開始後より、喫煙本数は40本から20本へ減少。しかし、コーヒーを飲むとタバコが常に吸いたくなるとのことであった。このためコーヒーを飲むのを4回/日から1回へ減らすよう指示。しかし、その後7月20日受診予定であったが、来院しなかった。8月9日再診。喫煙本数は20本/日のままであった。このため再度禁煙の意思確認をおこないニコチネルTTS(30)を2週間処方。8月24日再診時には20本から10本へと減らすことが可能となったが、時間があるとタバコを吸いたくなるとの心理状態にあったことから、禁煙パイポまたはガムの併用下にニコチネル(20)へ減量した。しかし、その後喫煙本数が再度20本/日へと増加。「何かをしていれば多分タバコを吸わなくて済むのだが」との訴えあり。運動などをすることを勧めた。喫煙本数は20/日のままであったことから、ニコチネルTTS(20)を継続し、減量しなかった。その後来院せず、drop outとなった。9月8日の段階では依存度スコア4点、CO濃度は18ppmであった。 (問題点) 活動している時には気が紛れて禁煙できるとのことであったが、無職にて日常生活の規則性(日課)をうまく作り出す事が困難であった。くわえて統合失調症のため運動や仕事への意欲が欠落しており、このことが喫煙の機会を与えてしまっていた。精神科医とも十分な連絡を取り合いながら行っていれば、禁煙達成をなし得た可能性あり、反省すべき症例であったと考える。 (転帰) 禁煙失敗 |
日本禁煙学会の対外活動記録 (2007年2月) |
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