2010年3月3日掲載 |
≪FCAアライアンスの新聞発表≫ 歴史に残るタバコ条約、今年で5年 |
原文: FCTC fifth anniversary makes public health history |
2010年2月26日。 公衆衛生上重要な一里塚を打ち立てたWHOのタバコ規制枠組み条約(FCTC)が発効して今年で5年になる。 枠組み条約アライアンス(FCA)は、FCTCが今日までに及ぼした地球規模の影響を嬉しく思っている。すでに195か国のうち168か国が批准や承認の手続きによってこの条約に参加し、さらなる国々が参加の方向に向かっている。 その結果、多数の国が、タバコの広告やタバコ会社による催し物の後援の禁止や市民がタバコの煙にさらされないよう保護することを通じて、また、タバコの箱に絵入りの警告表示を義務づけることを通じて、タバコの使用を減らし、人命を救うために、科学的根拠に基づいた効果的な措置を実施してきた。 FCTCは、以下の理由で、著しい成果を挙げた。すなわち FCTCは、WHOの主催下で、国際法が地球規模の保健について果たすべき重要な役割を持っているという多数の賛同を得た認識を取り決めた最初の条約である。 この条約は、地球規模の保健および政治問題としてのタバコ規制の重要性を高めることにより、各国内のレベルでの政策変更を促進させることにより、また、タバコ規制の領域に新しい官、民の資源を持ち込むことにより、地球規模の行動を促進した。 FCTCの締約国会議(COP)は、この条約の柱となっている四つの重要な条文について厳しいガイドラインを採択し、さらにその他多数のガイドラインや議定書を作る作業が進行中である。 しかし、それぞれの成功の反面には、まだ解決できない困難な課題が残っている。というのは、FCTCの世界的な実施は、特にタバコに対する課税、タバコ製品の違法な取引の規制、禁煙教育や禁煙支援といった金のかかる措置に関して、まだ前途遼遠だからである。 金持ちの締約国も、所得が低い国々や所得が中程度である国々においてタバコ規制の施策が適切な技術的、資金的援助を受けられるようにするために、それほど努力してこなかった。FCAは、これらの国々が、この重要な領域における資金調達が増えるよう、自国の発展計画の中にタバコ規制を盛り込むことを望んでいる。 タバコは1年に500万人を超える人を殺しているのに、タバコ規制プログラムの資金は大幅に不足している。それで、今後5年間、FCAは、この条約にそった措置や政策の実施のための資金が適切に供給されるよう、FCTCの実施の改善と遡源をふやすことに全力をあげる。 FCAは、また、例えばタバコの包装の表面積の90%に絵入りの警告表示を印刷すること、タバコの店頭陳列や免税タバコの販売の禁止、無地包装、タバコ税の引き上げ、より多種類の禁煙支援方策、タバコ製品の違法な取り引きを取り締まる効果的な議定書など、より厳しい措置がとられるよう期待している。 FCAの理事であるローラン・ユベールは、過去5年間にタバコに起因する死者の数は減るどころか増加したと述べた。 「タバコの使用は所得が低い国々や所得が中程度である国々において依然として高水準を保っており、女性と若い人の間では増えている」と彼はいう。「私たちはこの5年間に政策の点では進展を見たが、タバコの使用による死亡は増え続けている。各国の政府は、タバコによる死亡という波を食い止めるための公約実現に資金をつぎ込むことが必要だ」 タバコという疫病の流行は、先進国から発展途上国へと急速に移っているので、FCAは、タバコ規制を国の発展にとって必要な問題として扱ってほしいと思っている。タバコ依存は貧しい家族にとって重い負担となっている。なぜなら、タバコ依存の結果、食物や教育に使われるべき金がタバコ産業のふところに流れることになるからだ。タバコの使用の後に起こる病気の治療費が、今でさえ乏しい保健のための財源を食いつぶしている。 それにもかかわらず、タバコ規制はまだ地球規模の発展計画に入っておらず、国連が作った「21世紀の発展計画」もこれについて全く触れていない。もしタバコ規制が地球規模での「付け足し」として扱われるとしたら、世界中のより貧しい国々の発展は、タバコに起因する病気の激増によって、今後何十年にもわたって不利な地位に立たされるだろう。 「私たちは、最小限のことをするという態度をとってはならず、人命を救うためにタバコ規制を強める仕組みとしてFCTCを活用すべきだ」とユベールは述べた。「タバコ産業は健在だが、健康の保持はいまだに遅れをとっている。FCAはこの条約の当事国がこの条約の意図実現のために行動を起こし、より多くのことを行い、必要なことを、しかもそれらをより迅速に行うよう要求する」。 |