JTは、JTIがタバコを密輸してシリアの反体制派弾圧活動に手を貸すことを直ちに止めさせるべきです。
また財務省には監督責任があり、この問題は国際的な注視を集めている中、しっかりとJTを監督し、処罰を考えるべきです。
内戦状態にあるシリアの北部の中心都市アレッポで8月20日、日本人ジャーナリスト山本美香さんが自由シリア軍を取材中にアサド大統領側の兵士に銃撃されて死亡しました。
8月21日の米紙ウォールストリート・ジャーナルはJTIがタバコを制裁下のシリアなどにキプロスを介して不正輸出していたこと、EUの欧州不正対策局(OLAF)がシリア制裁に違反した疑いがある等数点に関して調査に入ったことを報じています。
同紙によると、JTIは2011年5月下旬、キプロスの卸売業者を経由し、アサド大統領の親戚のマフルーフ氏が出資する企業に、たばこ45万カートンを販売。
これがEUが同氏への制裁を始めた後だったとの疑いがあります。マフルーフ氏は、アサド政権によるシリア反体制派への弾圧活動に資金提供をしていたとされ、タバコの販売代金が流用された可能性があるということです。
http://online.wsj.com/article/SB10000872396390444233104577595221203321922.html
(これの翻訳は、添付文書(PDF348KB、5ページ)を参考のこと。)
この調査結果は以前のJTIとRJレイノルズが関与したイラクへのタバコ密輸事件とよく似ています。これは2002年10月30日にウォールストリート・ジャーナル紙が報じています。
http://lists.essential.org/pipermail/intl-tobacco/2002q4/000810.html
この時は、サダム・フセインの息子ウダイに対する密輸で、ウダイに資金を供給する目的がありました。このように独裁者に密輸をして、歓心を買うのはJTIのお家芸と言っても良いでしょう。
日本たばこ産業は22日、「シリアへの製品出荷は停止している」と言っていますが、事はシリアへの製品出荷は停止していると言えば済む問題ではありません。なぜ、キプロスを介して安い価格で売ったのか、マフルーフ氏を通したのはなぜなのか、など疑惑が深まるばかりです。
JTIは2011年5月にアサド大統領の親戚一族が関与するシリア企業にタバコ45万カートン、同月に420万カートンもの米国タバコを安価で別のシリア国営企業に輸出し、国営企業はタバコを国内あるいは近隣諸国で販売することで、1億ドル以上の利益を得たと見られています。これはアサド大統領らによるタバコの密輸事件に他なりません。
また、これに関する報道は朝日、読売、日経、東京など産経新聞をのぞくすべての全国紙と共同通信で報道されています。
http://www.47news.jp/CN/201208/CN2012082101002333.html
この問題は昨年11月以来、NPO法人 日本禁煙学会が調査し、追い続けているJTIの密輸事件が事実であったことの裏付けに他なりません。
これについて財務省はすでに2年前に終わったことであると答えていましたが、JTがついた真っ赤な嘘に騙されていたことになります。JTがついている嘘はこればかりではなく、平気で嘘をつく唯一の日本企業と言えるでしょう。 たとえば、
「国民と政府にウソをついて喫煙対策を妨害するJTに抗議する」
http://www.nosmoke55.jp/action/1203liar_jt.html
「JTの主催するイベントや『社会貢献活動』はぜんぶ国際条約違反なんだって?
http://www.nosmoke55.jp/action/1205jt_csr.html
などをご覧下さい。
これまでNPO法人 日本禁煙学会はJTIが中東各国でタバコを密輸し、膨大な利益をシリアなどで独裁者の隠匿利益としていることを暴き、国民に注意を喚起して参りました。
オブザーバー紙記事「JTIがシリアの独裁支配者にタバコを出荷「アサドのテロ行為への資金供給」を行った疑い」の邦訳版(2012/1/31)
http://www.nosmoke55.jp/action/1201jti_syria.html
JTインターナショナル(JTI)のオリンパス型スキャンダルについて(2011/12/20)
http://www.nosmoke55.jp/action/1112jti_scandal_japaninc.html
JT International (JTI) による密輸事件に対する調査要請 (2011/11/24)
http://www.nosmoke55.jp/action/1111jt_smuggling.html
今回の問題の核心は
1.EUが制裁を決定した「4日後」にJTIが制裁破りのタバコ出荷を行った(JTIの社
内資料で確認済みとWSJは主張している)
2.「制裁破り」の国際的問題性もさることながら、タバコ製品そのものが、反社会的勢力の有力な資金源となることが判明し、そのような反社会的勢力への荷担はとうてい許されることではない。
と言うところにあります。
これに対するJT,あるいはJTIの逃げ口上は、まったく受け入れられません。
JTは、JTIがタバコを密輸してシリアの反体制派弾圧に手を貸すことを直ちに止めさせるべきです。
また財務省には50%を超える株を所有しているので監督責任があり、この問題は国際的な注視を集めている中、しっかりとJTを監督し、処罰するべきです。
(注)
JT株式会社 ; 日本たばこ産業株式会社
JTI ; JT International。JTの100%子会社。
しかし、JTIのホームページでは、“We're the world's third largest international tobacco company” と述べているとおり、JTとJTIは表裏一体です。
http://www.jti.com/our-company/
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