2011年9月9日 | ||
養老孟司氏の妄言・詭弁「命が大事なら禁煙運動より自動車反対運動しろ」への反論 |
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養老孟司氏の妄言・詭弁はこちら(NEWS ポストセブン 9月6日(火)16時5分配信記事) |
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第3段落:世界で初めて禁煙運動を始めた記録は、ナチス以前にあります。 第5段落:国は医療費を管理しており、医療費を下げる努力をする必要があります。特に今のように財政状況が逼迫している時には、国の努力は当然です。世界銀行によりますと先進諸国は、医療費の6-15%がタバコによる増加を被っています。逆に言うとタバコを規制することにより将来的には、医療費の6-15%を減らすことが期待でき、この分を総医療費を増やすことなく、医療が必要とする多くの患者さんの治療に回すことができます。 第6段落:副流煙の研究をしたのは平山だけでなく、もの凄くたくさんの研究があります。それらは副流煙による肺がんの多発を支持しています(すなわち平山研究の結果を支持しています)。それに副流煙の害は肺がんだけでありません。喘息の悪化、呼吸器感染症の増加、中耳炎の増加、などなどたくさんあります。それらの中には、平山研究以前から示されているものがあります。そもそもタバコのにおい、催嘔吐物質のニコチンに曝露して吐き気を催すのも害です。 第7段落:年齢調整すれば肺がんの死亡率は90年代から減少しています。肺がんの発生率が上昇する一方というのは、全くの誤りです。養老氏は、人間のがんの増加と減少を論じる際の基礎的な知識しか持ち合わせない医学部出身者です。 第8段落:原因を特定するのにメカニズムの判明は必要条件ではありません。この点、下記の本を書きましたのでご参照ください。もうすぐ発売です。メカニズムの判明を悪用した例としてタバコ会社の画策を取り上げております。 岩波科学ライブラリー 184『医学と仮説 原因と結果の科学を考える』(2011年9月16日 発行予定) 定価 1,260円(本体 1,200円+税5%)、ISBN: 978-4000295840 第9段落:個人差を考慮して一般法則を導き出すのが科学です。養老氏は科学の基本を全く理解していません。 第10段落:自動車会社は事故の面でも排気ガスの面でも害がなくなるように最大限の努力をしています。排気ガスは将来的に99%以上減らすと公言しています。タバコ会社はその努力をしていません。すでに害はあるものの、「排気ガス」をなくせるニコチンパッチが開発されているのに、そちらに移れと推奨していません。「正常な使い方をして体にはっきりとした害のある唯一の商品がタバコです」という1990年頃のアメリカCDC長官の言葉が、害もありうる他の商品とタバコとの違いを明確に表現しています。 タバコの問題に取り組む人の数が多いのは、他の予防可能な死亡数を足し併せてもタバコの死亡数を大きく下回るほど、タバコの被害が甚大であるにも拘わらず、有効な対策が十分に打たれていないからです。そもそも私などはタバコの害だけでなく自動車排ガスの害の研究もしております。自殺の研究も一部手がけています。医学研究者を名乗っているのに、タバコの害の研究もせず、自動車排ガスの研究もせず、自殺の研究もせず、タバコ会社の講演を引き受けまくっている養老氏に「自動車反対運動をしろ」という資格はありません。 以上、養老氏は、逃げ回らず、公開の場で討論すべきです。情報公開と平等な議論は、科学の基本です。 |
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