2011年7月22日

タバコ税の引き上げ、及びタバコ税収の健康推進税等使用目的の明確化、 たばこ事業法の撤廃、タバコ規制法の制定について
(平成24年度厚生労働省税制改正に関する要望)

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要望者名
(個人の場合は年齢、性別、ご職業をご記入ください。法人の場合は部署名および担当者名もご記入ください)
特定非営利活動法人 日本禁煙学会
理事長 作田 学
住所
(法人の場合は所在地)
〒162-0063 東京都新宿区市谷薬王寺町30?5?201
電話番号 090-4435-9673  090-8442-0966
FAX番号 03-5360-6736
電子メールアドレス
要望項目名 タバコ税の引き上げ、及びタバコ税収の健康推進税等使用目的の明確化、
たばこ事業法の撤廃、タバコ規制法の制定
種別 1.新しい税制措置に係るもの
○2.既存の税制措置の拡充や延長に係るもの
※どちらかに○印を付してください。
要望税目 国税(タバコ税                 )
地方税(タバコ税                )
関係法令(条項) たばこ税法第11条、地方税法第74条の5、第468条、タバコ規制枠組条約
要望内容の詳細 1. 平成23年度税制改正大綱で、平成22年度のタバコ税・価格上げは見送りとなりましたが、以下のように記載されています(第2章 各主要課題の平成23 年度での取組み 5.消費課税 (3)たばこ税・酒税、21ページ)。「たばこ税については、国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制するため、将来に向かって、税率を引き上げていく必要があります。この方針に沿って、平成22 年度税制改正では、1本あたり3.5 円の税率引上げを実施しました。」とされ、昨年(平成22年)10月からの1箱110円程度の引き上げられましたが、今後も毎年、1本当たり5〜10円を引き上げて行くことが必要です。

2.タバコには強い依存性があり、止めにくいものの、タバコを40%値上げすると14〜16%喫煙率が下がり、一方タバコ税収は20〜18%増えるという世界共通の原則があります。我が国での昨年の1箱平均110円の税・値上げ(40%弱の上げ)で、タバコの販売本数は十数%減、税収は少なくとも十数%増の実績です。タバコ税を毎年上げることにより、禁煙を考えている人々が決心するよい動機となり、特に未成年も経済的に買いにくくなります。タバコ税の大幅な引き上げが優れた喫煙対策施策とされる所以です。

3.このタバコ税の引き上げ分は、健康推進税として、未成年者の喫煙防止、喫煙者の禁煙促進支援、がん対策等タバコ病の健康対策費(禁煙教育や啓発等)への充当、タバコ耕作の転作支援やタバコ販売店の転業支援などに充当するのが合理的と考えます。タバコ税・値上げにより、売上高は増えますが、タバコ産業の取り分は小売店、葉タバコ農家への分配金に使われていません。FCTC第17条のように、小売店、葉タバコ農家へは税金から、転業資金として払うべきです。(第17条 経済的に実行可能な代替の活動に対する支援の提供締約国は、相互に並びに権限のある国際的及び地域的な政府間機関と協力して、適当な場合には、タバコの労働者及び耕作者並びに場合に応じ個々の販売業者のために経済的に実行可能な代替の活動を促進する。) これらの施策は諸外国で実効性をあげており、タバコ規制枠組条約でも提案され、わが国でも求められているところです。

4.台湾や韓国で実践している、タバコ税のある割合を公衆衛生的な活動、特に禁煙支援、未成年喫煙防止などに活用することが望まれます。台湾では2007年から毎年値上げをし、増税分をタバコ対策や国民健康保険の補填に活用しています。厚生労働省の国内タバコ対策費は5千万円前後とのことですが、毎年タバコ税の一部100億〜200億円の予算でもとれれば、都道府県の保健業務は充実し、さらに全国の中学、高校に禁煙カウンセラー、または心理カウンセラーを配備でき、喫煙予防に専念できます。

5.平成22年度及び平成23年度税制改正大綱で「たばこ法制について、現行のたばこ事業法を改廃し、たばこ事業のあり方について、たばこ関係者の生活や事業の将来像を見据えて、新たな枠組みの構築を目指すこととします」とされていますので、タバコ産業を保護育成するタバコ行政を廃絶し、国民の健康推進のために「たばこ事業法」を撤廃し、包括的な“たばこ法制(たばこ規制法)”を策定して、結果としてJT株を全株放出し、国はタバコの保護育成から撤収すべきです。このことは、財務省平成23年度政策評価実施計画においても「平成22年度及び平成23年度税制改正大綱において、「将来に向かって…たばこ事業のあり方について…新たな枠組みの構築を目指すこととします」」と明記されています。 http://www.mof.go.jp/about_mof/policy_evaluation/mof/fy2011/plan/s7-11.pdf
措置を必要とする期間 少なくとも数年〜10年程度は必要
要望理由
(必要性・妥当性)
上記 要望内容の詳細 にも記載していますが、タバコ税の値上げにより、タバコ消費量は減るが税収は反って増えることが2010年10月の引き上げで実証されており、かように喫煙者は減り、医療費の削減・国民の健康増進につながります。
期待される効果 これらの施策により、税収は増え、タバコによる被害(火事、病気)の減少が期待され、さらに未成年の喫煙防止につながります。(昨年の1箱平均110円の税・値上げで、タバコの販売本数は十数%減、税収は少なくとも十数%増の実績)
税収の減収見込額 下記備考のように、税収は増えます
備考 ※1 例えば2010.1-3月期の実績を、タバコ税・価格上げ後の2011.1-3月期と比較すると
     紙巻きタバコ販売本数 税抜き売上高 国税タバコ税 +たばこ特別税含む
             (億本)       (億円)   (億円,右含まず)
2010.1-3月期     530         2855      1920     2365
2011.1-3月期     443         3272      2402     2746
   増減       16%減       15%増     25%増   16%増

前年各四半期に比べて、販売本数は十数%減ですが、販売代金は十%以上の増となっています。

※2 また、2010年と2011年の1-3月期に加えて、4-6月期を比較すると、※1と同様
          タバコ販売本数  販売代金(税込み)
             (億本)       (億円)
2010.1-3月期     530         8043 
2011.1-3月期     443         9216 
   増減      16%減       15%増 

2010.4-6月期     557         8451
2011.4-6月期     451         9425 
   増減      19%減       12%増

従って、上記※1と2のように、2010年10月のタバコ税上げ・値上げ(1箱約110円)の結果として
 (1)タバコの販売本数は減る
 (2)しかしタバコ販売額は増える(販売側収益は増える)
 (3)タバコ税収も増える(国税、地方税ともに)
 (4)従って、税制改正大綱の記述の正しさが実証されている