PDF版(130KB)はこちら |
「国民の公正な裁判を受ける権利」を求める申し入れ |
2008年4月11日 2008年4月22日追加 |
最高裁判所長官 島田仁朗様
横浜地方裁判所長 安倍嘉人様
「国民の公正な裁判を受ける権利」を求める申し入れ
現在係争中の「横浜たばこ病訴訟」に関しまして、今般発表された最高裁人事によれば、2005年1月19日提訴以来訴訟指揮をとられた三木勇次裁判長が静岡地裁に異動となりました。
その上、右陪席の本多知成裁判官までが知的財産高裁判事となり横浜を離れました。しかも担当裁判官はすべて交代となり、新たに東京地裁から水野邦夫裁判官が裁判長に、右陪席に最高裁調査官であった宮坂昌利裁判官、左陪席に同じ横浜地裁第5民事部内で小松香織裁判官から中島真希子裁判官に交代することになりました。
水野邦夫裁判長は「第一次たばこ病訴訟」の東京地裁(浅香紀久雄裁判長)で「喫煙の依存は軽く、たばこと肺がんなどの因果関係はリスク要因のひとつに過ぎない。病気は本人の自己責任」「国、JTに責任は無く、損害賠償の必要はない」と原告敗訴の判決を下した際の右陪席裁判官でした。
さらに今回右陪席となった宮坂昌利裁判官は、原告側の最高裁上告時に担当調査官であり、「上告棄却」をまとめる役割を担いました。しかも同裁判官は、以前厚生労働省に派遣されていたことから、当然、被告・国の担当省庁である厚生労働省の「よき理解者」として国、JT側の立場にたって判断を下した可能性を否定できません。
「横浜たばこ病訴訟」は、今後被告JT側証人2人の尋問後、結審を迎える最終局面となっています。このような時期に、「担当裁判官」の3人全員を交代させたことは異常かつ不当です。
交代後の水野裁判長、右陪席の宮坂裁判官が、上記の経緯から「たばこ病訴訟」に予断を抱いているであろうことは容易に推察されるだけに、「最高裁が横浜たばこ病訴訟の推移を察知し、国、JT側が有利になるように 裁判官人事を通じて意図的に対策を講じた」との疑いを、われわれはもとより一般国民にも抱かせることとなりました。
最高裁判所は、今日までの審理で積み上げられてきた原告、被告双方の弁論や証言の貴重な蓄積を重視せず、また、これらを通して形成されつつあると考えられる裁判官の心証をことさらに無視して裁判を振り出しに戻し、裁判長と右陪席の2人の裁判官によって原告敗訴の判決を誘導するものと考えざるをえません。
まして、すでに森下賢一原告は死亡しており本人尋問での証言もならず、体力の限界で証言にたった水野原告や体力の衰えを訴える高橋原告の「たばこ病の実態とその苦闘の闘病生活、たばこ病のない社会を願う心からの訴え」を聴いた裁判官が1人もいないというのでは、原告の訴えは聞き届けられないと言う印象をぬぐうことはできません。
「有無を言わせぬ原告敗訴の最高裁の意思」とも見られるような行為を最高裁がとったことは、単に本件事件の公正な取り扱いに疑念を生じさせるのみならず、今後の裁判一般についても裁判の公正性への国民の信頼を打ち砕くものです。
「憲法・法律の番人たるべき最高裁判所」自身によって、裁判の公正と司法の独立が侵害され、破壊されることとなれば、国民は最後のよりどころさえ失うことになります。
今回の人事によって、最高裁が政府省庁など他の国家権力機関、ひいては被告日本たばこ産業株式会社との癒着があると国民から疑われる状況となったことは、公正性をもっとも大切にすべき司法機関においては絶対に避けねばならないことです。
貴裁判所としては、横浜たばこ病訴訟の担当裁判官の人事に関し、そのもつ意味を再度考慮して、国民が抱いている司法の独立、司法の公正性、裁判官の独立に対する信頼を取り戻すべく、以下の事項につき申し入れるものです。
また、たばこ病訴訟の性格上、たばこの有害性や依存性の問題が問われるだけに、喫煙する裁判官は避けるべきことは論を待ちません(第1回口頭弁論において、水野原告の陳述でこの点は指摘しています)。*注参照
【申し入れ事項】
(1) 疑義ある人事を改めて、5月14日の次回証人尋問期日までに、これまでたばこ問題関連訴訟には全く関係のない非喫煙の裁判官と交代すること。
(2) この件に関して、貴裁判所の見解と対応についてお答えいただきたい。
たばこ病をなくす横浜裁判原告団(水野雅信/高橋是良/森下玲子)
NPO法人・日本禁煙学会理事長 作田 学
全国禁煙・分煙推進協議会会長 平間敬文
たばこ病をなくす横浜裁判応援団(幹事 本多一公)
たばこ病訴訟を支える会代表幹事 渡辺文学
【連絡先】たばこ病訴訟を支える会
〒102‐0072 千代田区飯田橋2−1−4
九段セントラルビル203
TEL:03-3222-6781/FAX:03-3222-6780
*(注) 「たばこ関連訴訟」においては、“非喫煙裁判官”である必要があります。喫煙者はニコチン依存症に陥っており、たばこをやめられないだけでなく、有害性に対する認知・認識が大幅にゆがめられていることが証明されています。この「認知のゆがみ」は、病気からくる共通の特徴であり職業を問いません。たばこをやめられない、あるいはやめたくない裁判官が、たばこはやめるべきとの判決を出すことは自己矛盾であり、公正な裁判は望めません。すでに2006年4月から禁煙治療が健康保険対象となり、喫煙自体が病気として認定されています。
2008年4月22日 |
裁判官総入れ替え! 「たばこ病をなくす横浜裁判」で最高裁と政府/JT癒着の裁判官人事 裁判の公正・司法の独立に向けて、奮闘します。いっそうの裁判支援を訴えます。(原告談話) |
クリックするとPDFファイル(165KB)が開きます |