「平成20年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」に関するご意見の募集について http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p0118-1.html (2008/1/25締め切り) に対する日本禁煙学会の提出意見


中央社会保険医療協議会「平成20年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」に関する意見

特定非営利活動法人日本禁煙学会

理事長 作田

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禁煙治療(ニコチン依存症管理料)の保険適用に関わる診療報酬改定の意見 



(1)2006年4月に制度化された禁煙治療の保険適用は、医療機関と喫煙者・家族だけでなく社会の関心も深く、本会がホームページに掲載している保険適用機関は5,000を超えていて http://www.eonet.ne.jp/~tobaccofree/hoken/sokei.htm 、アクセスや問い合わせも多くあります。

(2)制度導入後の検証評価では、禁煙治療を受けた患者の32.6%が、指導開始から1年間にわたって禁煙を継続していて、本制度に対する期待と継続、及び要件緩和の社会的要請も多くある現状かと思います。

(3)受診回数は5回に限定すべきではありません。4週と8週の間が開いて喫煙してしまうので、6週も保険が利くようにすべきです。
 また、現在ニコチンパッチの投与期間が決められていますが、あまりにも画一的です。基本は現在のものとするものの、他の疾患の治療のように、もっと裁量が可能な形としていただくと、より禁煙成功者が増えることが期待されます。

(4)最初の禁煙治療後1年を経過していない場合の保険適用不可は合理的ではありません。1年を経過していない場合も保険適用を認める要件緩和が必要とされます。

(5)タバコが原因の疾病の予防には若年層の禁煙治療が必要であり、ブリンクマン指数(喫煙指数、1日の喫煙本数×喫煙年数)による制限をなくすべきです。
 この指数は、本制度化のときに要件を厳しくするために出されてきたものと思われ、合理性がなく、ニコチン依存症の治療を妨げ、不当な制約を課しています。特にニコチン依存症は早期に治療するほど治療効果が高まるので、本指数が200以下の若年層の禁煙治療の開始が遅れると治療成功率が低下することは明らかであり、このような保険適用外の要件は中長期的に医療費増加を招くことが容易に予見されるので撤廃することとしてください。

(6)保険治療対象に入院患者を含めないのは不合理なので、制限を撤廃すべきです。
 喫煙者の入院患者の治療疾病は、喫煙に関わる要因が多い可能性があり、また治療や手術成績に禁煙が必要不可欠で効果が上がる場合が多いことから、入院患者の禁煙治療は疾病治療と不可分とされるべきで、当然に保険適用とされるべきかと考えます。
 また、入院中は主治医の指導で禁煙することが当然視されており、かつ入院患者の禁煙のインセンティブ(動機)も高く効果的で、退院後も禁煙の持続で治癒と健康増進に寄与することが期待され、なおかつ中長期的な費用効果の点からも医療費減少にも役立ちます。

(7)歯科における禁煙治療も保険適用に含めるべきです。
 歯周疾患と喫煙の関連性は既に明らかにされており、動脈硬化や糖尿病悪化等諸疾患にも関わっていることが国際的にも明らかにされてきています。歯周疾患は本人も目で見ることができることからも禁煙治療の効果が大きいです。歯科が保険適用外であることで、歯周疾患の治療と悪化防止からも効果が期待される臨床の機会が損なわれていることの改善が必要です。

(8)禁煙治療の機会を増やすために、禁煙治療に係る専任の看護師又は准看護師を1名以上配置していなくても保険適用を可能とするよう、この要件の撤廃・緩和が必要です。

(9)ニコチン依存症の治療薬(パッチ)の10、20がOTC化(薬局販売)され、30はされない可能性があるようですが、ニコチン依存症は依存性が強い疾病で治療が必要なので、医療機関でこれら10、20のパッチも保険適用処方薬として残していただくべきかと考えます。これはニコチンガムについても同様かと考えます。特に上記(5)項に関連しますが、若年層や女性では最初からパッチ20や10を処方するケースもあることから、これらがOTC化により保険適用外になれば、折角の禁煙治療制度の効果が部分的なものにとどまることになり兼ねません。