「喫煙対策シンポジウム2007」のJT講師の除外を求める要請 および要請結果について |
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要請結果はこちら 「喫煙対策シンポジウム2007」のJT講師の除外を求める要請 |
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2007年9月6日 | ||
厚生労働大臣 舛添要一様 厚生労働省労働基準局長様 厚労省労働基準局安全衛生部長様 中災防中央快適職場推進センター御中 兵庫快適職場推進センター御中 |
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「喫煙対策シンポジウム2007」のJT講師を除外することを強く求めます | ||
日頃は労働安全衛生環境の実現にご尽力くださり、感謝申し上げます。 私たちは、人々をタバコの被害から守り、禁煙推進を目的に活動している医師・弁護士など市民及び専門家の団体です。 本年11月8日に主催される標記シンポジウムの講師人選で、シンポの趣旨に相容れない,かつタバコ規制枠組み条約(FCTC)を遵守すべき主催者(厚労省)として遵守違反となる内容の講師が入っていますので指摘し、講師から除外することを強く要請させていただきます。その講師とは、日本たばこ産業(JT)の「たばこと塩の博物館」学芸部長の半田昌之氏です。http://www.jti.co.jp/Culture/museum/WelcomeJ.html 「たばこの歴史と文化」という演題の通り、この講演が「たばこには歴史があり、文化を生み出してきた」とのタバコ産業の空疎な主張を代弁し、タバコが人々の健康と生命を奪ってきた免罪符とする目的は明白です。
このイベントは、本来、職場の受動喫煙被害ゼロの啓発を目的としたもののはずです。職場の受動喫煙被害をなくすためには、日本も2004年6月8日に批准しているWHOのタバコ規制枠組み条約(FCTC)第8条に従い、職場内完全禁煙化の必要性を啓発するべきでしょう。http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty159_17.html 今年6月にタイのバンコックで開かれたタバコ規制枠組み条約締約国会議(COP2)では、この第8条実現のために、「100%タバコの煙の無い法的環境」を実現するためのガイドラインも作られ、日本政府も賛成票を投じ、会議の満場一致で決議されています。http://www.nosmoke55.jp/data/0707cop2.html このガイドラインの24.『第8条は、すべての屋内の公衆の集まる場所、すべての屋内の職場、すべての公衆のための交通機関そして他の公衆の集まる場所(屋外あるいはそれに準ずる場所)を完全禁煙として「例外なき(受動喫煙からの)保護を実施する義務」を課している。すべての締約国は、その国におけるWHO枠組み条約発効後5年以内に例外なき保護を実現するよう努力しなければならない。』に従い、この5年以内の2010年2月27日までに(2年半後)、わが国政府は、職場を含むこれらの全面禁煙の法的措置を採る必要があり、日本を除く世界の各国政府はこのガイドラインに基づき、この政策履行へ向けて既に走り出しております。またILOからもこれと同期して同様の指示が出ることになっております。 本年WHOより出された受動喫煙防止のための政策勧告でも、室内は完全禁煙しかありえないとされています。http://www.nosmoke55.jp/data/0706who_shs_matuzaki.html
イベントの趣旨が、いまだに平成15年に作られた厚生労働省の不十分なガイドラインに基づいてなされる点も問題です。早急にCOP2のガイドラインと本年のWHOの勧告に則った新ガイドラインの作成をお願いします。(日本禁煙学会のHPをご覧下さい) FCTCの前文には「たばこの規制のための努力を阻害し又は著しく損なうたばこ産業の活動に警戒する必要性並びにたばこの規制のための努力に悪影響を与えるたばこ産業の活動について知らされる必要性を認識し」と書かれています。また第12条の(e)では「たばこの規制のための複数の部門にわたるプログラム及び戦略の策定及び実施におけるたばこ産業と関係を有しない公的な及び民間の非政府機関の啓発及び参加」が、教育、情報の伝達、訓練及び啓発として規定されています。(FCTC引用部の下線は要請者による)
JTの半田昌之氏の講師登用は、明らかにFCTC違反ですので、講師登用中止を強く求めます。このイベントが、真に安全に仕事ができる完全禁煙の職場作りに貢献すべきものになるよう、また、日本が掲げているFCTC批准国としての国際的責任を果たすための重要な機会とするためには、FCTC違反条件を満たす半田昌之氏による講演は、即刻中止すべきです。
FCTC締約国にふさわしい、安全な職場環境が実現することを願いつつ、主催者としてのご英断を切にお願いします。
なお、この件について、書面によるご回答を本年9月20日までにいただきたく、お願い申し上げます。 |
要請結果について | |
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「喫煙対策シンポジウム2007」のJT講師の除外を求める要請(2007/9/6)について、厚労省の当該部局の責任者を含む3人と、2回にわたり、日本禁煙学会事務局でご相談いたしました。 当方も理事長および評議員の複数でお会いしました。 その結果、たばこと塩博物館の学芸部長を講演者として要請したことは不適切であったとお認めになりました。そして、当方が推した高信太郎さん(漫画家)に講演をお願いすることに決まりました。この事につきましては、厚労省側のフェアなやりかたに感謝いたすとともに未然に大混乱を防ぐことができたことを喜びたいと思います。 私たちは、喫煙側と禁煙側とに同時に講演を依頼し、それが行政の公平な態度であるとする従来の考え方を断固として排除していきます。それがFCTCの前段ならびに12条でうたわれている条約の精神ならびに行動規範に合致するものと考えるからです。それが当該の条約を世界の149ヶ国が締約し、そして我が国にも課せられている事実があるからです。 2007年9月27日
FCTC(タバコ規制枠組み条約) (前段)タバコ産業と関係を有しない非政府機関及び市民社会の他の構成員(保健関係の専門職能団体、女性の団体、青少年の団体、環境に関する団体及び消費者の団体並びに学術機関及び保健機関を含む。)による国内の及び国際的なタバコの規制のための努力に対する特別の貢献並びに国内の及び国際的なタバコの規制のための努力において当該非政府機関及び当該構成員の参加が極めて重要であることを強調し、 タバコの規制のための努力を阻害し又は著しく損なうタバコ産業の活動に警戒する必要性並びにタバコの規制のための努力に悪影響を与えるタバコ産業の活動について知らされる必要性を認識し、条約を定める。 (第12条) 教育、情報の伝達、訓練及び啓発 締約国は、適当な場合にはすべての利用可能な情報の伝達のための手段を用いて、タバコの規制に関連する問題についての啓発を促進し及び強化する。このため、締約国は、次のことを促進するための効果的な立法上、執行上、行政上又は他の措置を採択し及び実施する。 (a)タバコの消費及びタバコの煙にさらされることによる健康に対する危険(習慣性を含む。)についての教育及び啓発のための効果的かつ包括的なプログラムへの広範な参加の機会の提供 (b)タバコの消費及びタバコの煙にさらされることによる健康に対する危険並びに第十四条2の規定によりタバコの使用の中止及びタバコのない生活様式がもたらす利益についての啓発 (c)タバコ産業に関する広範な情報であってこの条約の目的に関連するものの自国の国内法に基づく公開 (d)保健に従事する者、地域社会のために働く者、社会福祉活動に従事する者、報道に従事する者、教育者、意思決定を行う者、行政官その他の関係者に対する、タバコの規制に関する効果的かつ適当な訓練又は啓発のためのプログラム (e)タバコの規制のための複数の部門にわたるプログラム及び戦略の策定及び実施におけるタバコ産業と関係を有しない公的な及び民間の団体並びに非政府機関の啓発及び参加 (f)タバコの生産及び消費が健康、経済及び環境に及ぼす悪影響に関する情報についての啓発及びその情報の取得の機会の提供 |
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