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健康日本21の喫煙率低減の数値目標とタバコ対策推進を求める声明 2006年10月24日厚労省生活習慣病対策室に申入れ 同10月31日厚生労働大臣、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会長宛送付および記者会見 同11月4日総理大臣、たばこ対策関係省庁連絡会議宛送付 |
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【上記の補足と理由説明】 (1)喫煙率削減のために,タバコ価格と税を毎年上げていく (2)タバコ税の,タバコ対策・健康増進対策など特定財源化を進める ・上記1,2項について,厚労省自身が,平成1 9 年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設)の中で, 「たばこ価格及びたばこ税の税率の引き上げと健康増進施策への充当」 http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/h19kaisei/kouseiroudou/19j12.pdf を要望として上げている。(以下,その内容と理由を引用する) ○健康フロンティア戦略の更なる推進を図る観点から、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約等を踏まえ、たばこ価格及びたばこ税の税率を引き上げるとともに、税収の一定割合を健康増進施策に充当する。 ○平成17年2月に発効した「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」においては、たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されていること、並びに価格及び課税に関する措置が、様々な人々、特に年少者のたばこの消費を減少させることに関する効果的及び重要な手段であること等が規定されている。 ○平成18年度税制改正大綱(自由民主党及び公明党)においては、「近年、国際条約の発効や国民の健康増進の観点から、たばこ消費を積極的に抑制すべきとの指摘も出てくるなど、たばこをめぐる環境は変化しつつある。このような指摘は、財政物資というたばこの基本的性格に係わるものであることから、たばこに関するあらゆる健康増進策を総合的に検討した結果を受けて、たばこ税等のあり方について、必要に応じ、検討する」とされている。 ○「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の批准国として、たばこ対策を強力に進めていくことが求められる中、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会等において、たばこに関する健康増進策の総合的な検討を行っているところである。「健康日本21」中間評価作業チームにおいても、中長期の国民の健康に好影響をもたらすには、成人の喫煙率及びたばこ消費量の減少が必須であり、更なるたばこ消費量の減少のためには、これまでのたばこ対策の延長線上にとどまらず、喫煙率の減少に係る数値目標の設定、たばこ価格の上昇が必要とする意見が多数を占めている。 (3)たばこ規制枠組条約締約国会議の負担金を拠出する ・2006-2007年予算案801万ドルのうち,日本はその22%の約176万ドル(約2億円)を負担することになっていて,第2回締約国会議は,2007年6月30日から7月5日までバンコクにて開催される。 http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/kaigi/060810/01.html ・しかし,財務省は予算要求に協力しないと発言している。(以下,議事録を抜粋) たばこ対策関係省庁連絡会議 第2回議事録(平成18年8月10日開催) http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/kaigi/index.html ○赤松厚生労働副大臣 本年2月には、本条約の第1回締約国会議が開催されて、今後の締約国会議の 開催頻度や、2006年から2007年の予算が決定され、我が国は176万ドルの分担 金が決定をされたということでございます。 ○財務省(小手川理財局次長) 先ほどの厚生労働省さんの話の中で、分担金の件については、当方は現時点に おいて、これを予算要求の中で負担する考えは全くございませんので、その点だ けははっきりしておきたいと存じます。 (4)健康増進法第25条の受動喫煙防止の義務化と罰則を設ける ・2003年5月1日施行の「健康増進法」第25条で,公共の場での受動喫煙の防止の努力義務が管理者に課せられた。本法を受けて同年4月30日の厚生労働省健康局長通知で,「全面禁煙は,受動喫煙防止対策として極めて有効である」とされた。本法及び通知を受けて,自治体庁舎の全面禁煙や学校敷地内禁煙,金融機関のロビー・ATMコーナーの禁煙,警察の公の場,航空機,首都圏の私鉄の禁煙などが進みつつある。 しかし本法は努力規定であるために,レストラン・食堂,理美容店,公衆浴場,タクシー,JRの一部,公道,職場などの禁煙は必ずしも進んでおらず,受動喫煙から国民の健康を守る対策が徹底しているとは言えない。管理者に全面禁煙を基本とした受動喫煙防止の義務を課し,違反者には罰則を課するべきである。 有害物質のリスク評価からしても,受動喫煙は健康影響が大きく,かつ禁煙により防止が可能な最大のものである。事業者・管理者の自主性に任せるには限度があり,全面禁煙を基本とした受動喫煙防止の義務を課し,違反者には罰則を課する対策が国際的に進んでいる。健康増進法が施行されて3年半が経過したが,そのような内容の法改正を早急にすべきである。 (5)健康増進法第25条の受動喫煙防止の対象に公道を含める ・健康増進法第25条の受動喫煙防止条項,及び健康局長通知は,受動喫煙防止の対象として,屋内のみでなく,「鉄軌道駅,交通機関ターミナル,屋外競技場,(略)等多数の者が利用する施設を含むものであり」としていることから,「公道」(歩道路上やオープンスペース)も本法の対象に含め,受動喫煙防止対策を講ずるべきである。 受動喫煙による過剰死亡リスクは,日本でも年間1万人余との試算データがあり,受動喫煙の場所を問わず,その防止対策は国民の健康づくりから重要な施策のはずであるが,しかし特に「公道」の受動喫煙については,健康増進法の対象外とされ,全国の100近くの市で,ポイ捨て防止や美化に絡めた歩きタバコ禁止,あるいは路上喫煙禁止条例が制定されてきている現状があり,「公道」の受動喫煙防止は法的に空白となっている。 米国でも,環境タバコ煙は,環境保護庁が,発ガン性物質として危険度の最も高いAクラスとしており,屋外の無風という状態下でひとりの喫煙者によるタバコ煙の到達範囲は直径14mの円周内であるとされているので,わが国でも,受動喫煙防止の唯一の法律である健康増進法第25条と健康局長通知を基に,「公道」を本条の対象に含めるべきである。 (6)タバコパッケージの健康警告表示を50%以上で画像付きにする ・たばこ規制枠組条約は第11条で,「条約発効3年以内に,(1)複数の文言をローテーションで,大きく読みやすく,主たる表面の50%以上を占めるべきであり30%以下では不可(2)絵・写真を含めることができる」としており,また条約第2条で「締約国は,この条約を越える措置をとることが奨励される」としているので,パッケージの少なくとも半分の面積に,画像を含む,大きく,明瞭な健康警告表示を義務づけるべきである。 2005年7月より,30%の面積に健康注意表示が義務づけられたが,文字だけで,かつ厚労省のリンク先を入れているために,文字が余計に小さく目立ちにくいものとなって,健康警告表示としては効果の薄いものとなっている。 タイ国やオーストラリア,ブラジルなどの事例のように,タバコの害を明瞭に示す画像を含め,大きな警告表示とし,喫煙者に喫煙のリスクを明確に伝える内容とすべきである。 このことにより,喫煙者が,画像を含む,大きく,明瞭な健康警告表示により,喫煙及び受動喫煙等のリスクを知ることができる。 ・追記:たばこ規制枠組条約は第11条で,「条約発効3年以内に,虚偽・誤認させる表示等で販売を促進しないこと(規制としてライト・マイルドなど含めることができる)」とされ,また条約第2条で「締約国は,この条約を越える措置をとることが奨励される」としており,ライト・マイルドなどは,タバコの害・リスクについて,消費者(喫煙者)に,虚偽・誤認させる表示等で販売を促進することになっているので,タバコ銘柄名にライト,マイルド等を禁止すべきである。 (7)未成年者がタバコを買える自動販売機を撤廃する ・未成年者喫煙禁止法第四条(煙草又は器具を販売する者は満二十年に至らざる者の喫煙の防止に資する為年齢の確認其の他の必要なる措置を講ずるものとす)のために,タバコ製造・販売業界は,2008年に成人識別機能付タバコ自販機を導入するとしているが,これは年齢確認身分証明と写真で担保されたICカードの導入である(ICカード導入=成人識別機能とタバコ業界と財務省は表現しているが,これは間違いで,年齢確認身分証明と写真を予め郵送で申し込んで作成し二重には登録できないICカード導入に過ぎず,自販機でこれを用いてタバコを購入する人が成人かどうかまでは確認できない)。 しかし本カードは転売されたり,なりすまし・代理購入等が可能で,未成年者が,自販機でタバコを買う可能性は十分にあり,また偽造や転売など新たな犯罪を誘発する可能性がある。 警察庁は「販売時に購入者の年齢確認を行うことが困難である自動販売機による販売は,将来的には,国民の合意の下に廃止されるべきものであると考えている。」と回答しているし,自販機への未成年者の不正アクセスが防止できない場合には,たばこ規制枠組条約第16条の「拘束力のある書面宣言により禁止を約束することを明らかにすることができる。」により,タバコ自販機は早期に全面撤廃とすべきである。 未成年者のタバコ購入のシャットアウトを担保できない自販機は撤廃とすべきである。 ・追記:タバコ販売店(コンビニ等を含む)の店頭において,未成年者と思われるタバコ購入に年齢証明の提示を自主的に求めているが,若い購入者には全て年齢証明の提示を法的な義務づけとすべきである。 (8)禁煙治療の保険適用におけるブリンクマン指数の撤廃,入院患者も適用とする ・喫煙はニコチン依存症を引き起こし,ニコチン依存症は「再発しやすいが,繰り返し治療することにより完治しうる慢性疾患」と捉え,禁煙治療受診に対する医療費の保険給付の制度がわが国でも2006年4月に導入された。 しかしその対象患者の要件として,ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上との要件が特段の理由がなく設けられたため,喫煙率の高い20歳代だけでなく,未成年の喫煙者は大半が保険適用から外れ,禁煙治療による生活習慣病対策及び健康づくり施策から不備となっているので,本要件を撤廃すべきである。 ニコチン依存症などの薬物依存症は早期に治療するほど治療効果が高まるので,ブリンクマン指数が足りないために禁煙治療の開始が遅れると治療成功率が低下することは明らかであり,このような保険適用要件はいたずらに禁煙治療費の無駄遣いをもたらす不要有害な規制である。中長期的な費用効果の点からも,この年齢層の禁煙こそが重要であり,かつ医療費減少に最も寄与が大きい。 ・禁煙治療の保険適用に入院患者が含まれていない。入院治療に禁煙治療が必須あるいは欠かせないケースは少なくなく,かつ入院患者を禁煙治療の保険適用から除外する特段の理由がないので,入院患者も保険で禁煙治療が受けられることとすべきである。 入院中は主治医の指導で禁煙することが当然視されており,かつ入院患者の禁煙のインセンティブ(動機)も高く,入院患者も保険で禁煙治療が受けられることとすれば,入院治療の効果が上がることが期待され,退院後も禁煙の持続で治癒と健康増進に寄与することが期待される。中長期的な費用効果の点からも,入院を契機にした禁煙治療は非常に効果的で,医療費減少にも役立つ。 ・追記:歯周病等歯科疾患のリスクに喫煙の関与があり,動脈硬化や糖尿病悪化等諸疾患にも関わっていることが,近年国際的にも明らかにされてきていることから,歯科でも禁煙治療を保険適用とし,禁煙者を増やす社会的制度の整備により,国民の健康づくりを進める上で極めて有効となる。 (9)健康診断時に,喫煙者には「要禁煙治療」の通知システムを導入する ・喫煙は働き盛りの日本人男性の最大死亡原因であり,また健康喪失ときわめて密接に関係しており,がん死亡の3〜4割は喫煙が原因であることが明らかにされているので,健診や人間ドックで,喫煙の有無を記入・聞き取り,ニコチン依存症の喫煙者には「要禁煙治療」の通知義務を定め,実際に禁煙治療を受けた場合に診療報酬にカウントし,治療者には保険適用(給付)する。 (10)タバコの広告禁止の経過措置として,新聞・雑誌等で,半分の面積を健康注意警告表示とする ・たばこ規制枠組条約13条で,「条約発効5年以内に,憲法上の原則に従い,包括的な広告の禁止を行う。その状況にない国は,制限を課する。」となっていて,また条約第2条で「締約国は,この条約を越える措置をとることが奨励される」としているので,タバコの広告禁止の経過措置として,早期に,新聞・雑誌等で,広告の半分の面積を画像を含むビジュアルな健康注意警告表示とすべきである。 現行では,15%の面積で,広告の中に注意文言3種類を表示する,となっているが,全く目立たない。喫煙者が,画像を含む,大きく,ビジュアルで明瞭な健康警告表示により,喫煙及び受動喫煙等のリスクを知ることができる。 |
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